2009年05月16日

[知財の本]朝日新聞グローブ15号(2009年5月11日)「特許バトルロイヤル」

ある弁理士さんブログで朝日新聞の付録であるグローブで特許制度特集が組まれていたことを紹介されていた。
で、読んでみた。
URL:http://globe.asahi.com/feature/090511/index.html

新しいことは書いていないが、最近の知的財産関係者の話題が幅広く、わかりやすく紹介されている。有識者にコメントを求めるのでなく、キーパーソンにインタビューを行っていることも評価できる。

特許制度に対する今の見方を伝えるものとして、非常によくできた特集だと思う。
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2008年06月24日

[知財の本]書評:山崎茂雄ほか『デジタル時代の知的資産マネジメント』(白桃書房、2008年)

今年も知的財産に関する本が多数出版されている。良書も多く、追いつくだけで大変である。気分転換がてら、知的資産に関する薄めの本を買ってみた。

残念ながら、私にとって新しい発見となる点や、頭の整理につながる点が限られている本であったが、それはそれとして意義のある情報発信かもしれないのでここにまとめる。

なお、本書は6人の著書がそれぞれの章を執筆しているが、統一したテーマを膨らませている内容とはいえなかったので、それぞれの章を論文と見なして書評を書いた。

■興味深かった点:デジタル化と非営利組織
山崎茂雄「知的資産マネジメントのファイナンス論」、立岡浩「欧州諸国における映像コンテンツ公共非営利事業のマネジメントとその関連法システム」は、双方とも知的資産、とりわけ著作物(後者は映像の著作物についてであるし、前者も著作物を前提とした議論をされているように読める)の創出過程において、非営利組織の関与が進みつつあることを指摘している。
山崎准教授はこれを現状の観察の結果として述べており、立岡准教授は、実例としてイギリスにおいて映画製作に非営利組織が関与していることを紹介されている。

デジタル化とネットワーク化、さらに、関連する情報技術の進歩により、著作物を作り出すコストが減少し、伝統的な資金調達の枠組み(たとえば、営利法人による間接金融)に依らなくても著作物を創出できるという変化は理論的には考えられてきた(注1)。これが実際に起きつつあることを観察できる点で面白い。

立岡准教授は、著作物を中心とする知的資産の創出を行う、産業以外の組織のマネジメント方法の研究、および、政策検討の上での配慮が不足していると指摘している。私は組織マネジメントがわからないので研究状況は把握していないが、政策検討の上でこれらを意識することは重要であると思う。

なお、立岡准教授は法的マネジメントの確立も求めている。少なくとも著作権の処理については、著作権法が建前上、文化振興を目的としており、営利性により取り扱いを分けていないので、著作物を作り出す行為に関する法的マネジメントの議論を特に行う必要はない(注1)。組織マネジメントとしての法的マネジメント以外の点では検討すべき点は少ないだろう。

■疑問点:非営利組織の関与を促すことまでが必要か?
上記の点に関し、立岡准教授は著作物の創出、とくに映像コンテンツの創出に非営利組織が積極的に関与することについて、望ましいものと価値判断をされていることが窺える。その理由は、営利組織や政府組織に出来ない、社会性のあるコンテンツ創造に求めているものと読み取れる。

これを前提として、立岡准教授は映像コンテンツの創出に関わる非営利組織を政府が資金的に支援することが日本においても「必要」と述べられている。

私はこれには疑問である。伝統的な映像産業の事情を前提にすると、コンテンツの創出に多額の投資が必要であり、非営利組織の関与は困難であったから、政府による支援が欠かせなかったのであろう。これに政治的事情が加味されてイギリスでは映像コンテンツを創出する非営利組織への支援が伝統的に行われているものと考えられる。

しかし、同書で山崎准教授が指摘されているように、デジタル化、ネットワーク化により「誰でも」「多額の投資を要すること無く」コンテンツ創出に関与できるようになっているのである。このような背景の変化があるにもかかわらず、政府の支援が必要と価値判断するには合理性が乏しい(注3)。

■残念であった点
大変言いにくいのだが、同書の辻幸恵「知的資産とマーケティング」は、何が言いたいかもわからないし、テーマにそった議論を行っているようにも読めない(注4)。また、初歩的な誤りを含んでいるようにも感じた(注5)。その点が残念である。なお、同章に私が見逃している有意義な発見点が含まれている場合はどうかお教えいただきたい。

■頭の整理につながった点
ここまで述べてきたように疑問点がある章もあるが、本書は入門情報として役立つ章もあった。生越由美「知的資産と知財戦略」は、最近の知的財産を巡る動向、考え方のポイントをコンパクトにまとめている。林紘一郎「放送・通信の融合と著作権」は、ここ数年重要な課題となっている問題を非常にわかりやすく整理している。

(注1)すでに1980年代から指摘されていた。その時代に指摘していた方々の先見の明には強く学ばされる。
(注2)もっとも、著作権法が産業規律法に変容しているとも感じるところはある。
(注3)あるいは「非営利」であることを「善」とする先入観をお持ちなのかもしれないとも思う。が、私は「非営利組織」=「善」と即断することをおかしいと考える。当たり前であるが、非営利と言ってもそれは利潤を分配しないことを意味しているにすぎず、「採算をとっていない」「お金をとらない」ということではない。であるならば、営利性と非営利性で大きく価値判断を違える理由が無い。もし「お金をとらない」非営利組織があり、それが望ましいとしても、それは営利組織に比べると理論的には持続可能性に乏しい。そうすると「望ましい」状況は持続しない。そういう状況は「望ましくない」と判断する余地が十分にある。
(注4)構成を私の読解に従って概説すると、若者は携帯電話を使い、携帯電話上で映像を見るようになっている(第1節)、女子学生や子供は「目新しい」キャラクターや「なごむ」キャラクターを好む(第2節)、ブランドは重要である(第3節)、映像・音楽のデジタル配信が進んでいる(第4節)、多様な消費者ニーズに対応した映像の提供が重要である(第5節)、となっている。何が言いたいんだ…。
(注5)たとえば、映像作品のダビングが違法かと問うアンケートを若者に行った結果、コピーを良しとする回答が少なくなかったことを挙げ、「日本人は複製に寛容」と結論づけている(同書35頁)。アンケート調査の設問がわからないので即断は出来ないが、設問次第では「私的複製」を念頭において回答した可能性がある。また、別の箇所(本書41頁)ではキャラクターの「所有権」(なお、著作権とは別に所有権を挙げている)との関係で複製が出来ないと整理をされているように読める。仮に私の読解が正しければ、この箇所は明確な誤りである。さらに、アート的な作品は映像の作品と異なり、複製では価値が落ちる、と述べ、映像の特殊性を指摘されている(本書45頁)が、これは分類がメルクマールなのではなく、複製技術の問題にすぎない。(アート的な作品である写真は「複製物」が本物と同一の価値を有する)
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2008年05月20日

[知財の本]藤野仁三(訳)『アメリカ知的財産権法』(八朔社、2008年)

アーサー・R・ミラー=マイケル・H・デービス(著)藤野仁三(訳)『アメリカ知的財産権法』(八朔社、2008年)はおススメ。

■本の概要
米国の知的財産法学者として著目なArthur R. MillerとMichael H. Davisによる教科書Intellectual Property:Patents, Trademarks, and Copyright 4th ed.の邦訳。米国の知的財産制度を網羅的に説明している。

■おススメポイント
米国の知的財産制度を概説した本は種類が乏しい上に、新しいものが無かった。本書はその間隙を縫う、貴重な本である。原文にできる限り沿っているためか、若干読みにくい点もあるが、簡潔に書いた基本書であることを考えると、やむを得ない。300頁のボリュームで、制度が容易に概観できる点は、優れている。
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2007年03月12日

[知財の本]カミール・イドリス『知的財産―経済成長の有効な手段―』(2004年、発明協会)

WIPOの事務局長であったKamil Idris氏の著書、"INTELLECTUAL PROPERTY -A POWER TOOL FOR ECONOMIC GROWTH"の訳書を読んでみた。正直に言うと訳書は訳次第で中身が大きく変わってしまうので、可能な限り原著で読みたい…というのが本音である。だが、原著は語学が出来ないものには時間がかかるので、今回はありがたく日本語のを読ませてもらった。

内容としては知的財産一般(特許、著作権、商標(地理表示含む))、それから近時、国際的な知的財産議論で話題になっているTraditional Knowledge(伝統的知識)について、なぜ保護が必要か、保護をするとどういう良いことがあったか、を中心に概説をしている。おそらく、ターゲットは発展途上国にあるものと思われる。

その分、理論的な点では少々物足りない。知的財産権の優位性についてベストプラクティスをざっと並べたという感も否めない。また、伝統的知識の保護については、残念ながら説得的な理由は見出せなかった。本音を言えば、知的財産の枠をかぶった抽象的な発展途上国支援のようにも思えてしまった。

とはいえ、世界各国のベストプラクティスを俯瞰できるのは興味深い点ではある。インドネシアのブランドの話なんて、日本ではまず聞かないような話が出てくるところに面白さがある。

惜しむらくは、訳が若干硬く、読みづらいのと、少しながら誤訳もあるところである(たとえば、stakeholderが「株主」と訳されている)。
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2006年09月20日

[知財の本][不正競争]第二東京弁護士会知的財産権法研究会編『不正競争防止法の新論点』

弁護士会内で行われた研究会の記録をまとめたものであり、理論的に新しいことが多々含まれているわけではないが、不正競争防止法の平成17年度改正の影響に触れたり、2条1項1号〜3号の理解(とくに裁判所の理解)について実務的観点からの整理が為されたものが含まれており、読み応えはある。

なかでも、田村教授の「不正競争防止法に関する裁判例と法改正の動向」、松村信夫弁護士の「形態模倣商品の譲渡等の禁止」、三村裁判官の「不正競争防止法違反による損害賠償」は興味深かった。
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2006年05月14日

[知財の本・ブログ][特許]鮫島正洋知財スキャン

『特許戦略ハンドブック』を書いた鮫島氏が日経ITPro Watcherに定期的に寄稿しているようである。
出願動向に関する議論は面白く、特許戦略についてわかりやすく、また、ほっとなトピックを交えて説明をしている。
鮫島正洋知財スキャン
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2006年02月12日

[知財の本]米山茂美・渡部俊也「知財マネジネント入門」

知財を勉強する学生の人にとって参考になればいいなぁってゆーシリーズ第1弾。
これ見て気になったら読んでみてくださいませ!!

米山茂美・渡部俊也「知財マネジネント入門」日経文庫(2004年)、900円

企業の中で知的財産がどのように管理され使われているか、また使われるべきかを概説的に紹介する本。経営の中での知財の位置づけが見えやすくていい。
posted by かんぞう at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ★知財の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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