2008年05月25日

[著作権]山本隆司「権利制限の共犯従属性」報告受講メモ

著作権法学会2008年研究大会で山本弁護士がなさった報告は、非常に刺激的なものであった。その概要(ただし、筆者が誤って理解している可能性があることを留意いただきたい)と若干の感想を述べる。

■報告概要
権利制限規定の解釈の枠組みを提示した。スリーステップテストの第2要件「通常の利用」の理解を手がかりにすると、権利制限の根拠は、(a)優越的価値を有する行為である、(b)著作権者に被害を生じさせない利用行為である、(c)市場の失敗を生じる利用行為である(それゆえ著作権者の権利行使を認めても誰もハッピーになれないから権利制限をかけてしまう)、の3つに大別できるのではないか。この枠組みに従うと、契約のオーバーライドの当否も判断できる。

また、この枠組みに従うと。権利制限規定の性質によって、間接侵害者に責任を認めるべき場合が峻別できる。具体的には、(c)の場合である。なぜならば、間接行為者が業として行う場合、個々の取引費用を無視しうることが出来、制限する根拠が失われるからである。

■私見
興味深い試論である。特に間接侵害について、「間接侵害を認める当否」ではなく、間接侵害の問題を生じさせる要因が権利制限規定であることに注目し検討するアプローチは興味深い。

もっとも、権利制限規定のうちどの規定が市場の失敗を理由とする権利制限規定と解することが出来るのかについてはなお議論の余地があろう。

ただし、スリーステップテストから権利制限の性質論への展開がどのように導くことが出来るのか、また、網羅的に性質論を述べているのか、時間の関係で山本弁護士も深くは述べることができなかったし、勉強の足りない私にはわからなかった。これについては、後日発表される『著作権法研究』の論稿に注目したい。

posted by かんぞう at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆著作権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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