2008年05月19日

[著作権]音楽著作物の保護のあり方を巡る興味深い現状

津田大介「「音楽不況」なのか」朝日新聞2008年5月17日(東京版)は、昨今の音楽著作物を巡る保護のあり方についての議論の中で認識すべき興味深い数字を示している。

■記事の概要
音楽業界は不況にあると言うが、これは売れ行きが低下しているCDを中心に見ているからである。日本音楽著作権協会の資料料徴収額は2007年、過去最高の1156億円であったし、ライブの入場者は2006年1978万人となり、8年前に比べ500万人以上増加した。
しかし、レコード会社は音楽ファンを顧みておらず、CDに高い価格設定をしたままで、あまつさえ、iPodに「みかじめ」料を求めている。音楽ファンに真摯に向き合うべきである。

■私見
昨今の音楽著作物を巡る保護のあり方を巡る議論の重要な論点のうち2つは、
○違法にアップロードされた録音・録画物のダウンロード違法化
○デジタル音楽再生機器への私的録音録画補償金課金
であった。
これらを押し進める理由の一つ(あくまで一つ)として、違法にアップロードされた録音・録画の複製物により被害を受けていること、あるいは、私的録音録画補償金の対象となっていない私的複製が増加し著作権者の利益が害されていることがある。
私の乏しい知識で知る限りでは、音楽不況の現状が被害や利益を害されている蓋然性を示す資料として取り扱われてきたように思う。

今回の津田さんの記事は、その点に対する批判であろう。

私自身は的確な指摘であると感じた。この指摘は、同時に、「不況産業であるが文化的に重要であるので保護すべき」との議論を封じることにもつながる。

レコード会社が変わらなければならない、という指摘は国内に留まっていない。
たとえば、2008年5月12日付のTIME紙(ASIA版)は"Lost in the Shuffle"という記事の中で、米国でのCDの不況を取り上げ、レコード会社がオンライン配信やライブからの収益へ転換を図っている取り組みを紹介している(そして日本同様ライブからの収益があがるようになったことを紹介している)。

ダウンロード違法化もiPod課金もそれぞれ異なる理由付けがあるところであるし、私自身はその理由は覆すことは難しいと感じるが、レコード会社にも努力を求めるべきことは重要であると思う。あわせて、少なくとも私的録音録画補償金については、その配分のあり方についても再考をするべきではないかと考えている。
posted by かんぞう at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆著作権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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