2005年11月13日

[不正競争]独禁法と不正競争防止法の位置づけ

田村善之『競争法における民事規制と行政規制』(「ジュリスト1088号」、1996年)読書メモ

1.本論文の意義
独占禁止法と不正競争防止法の差異、その規制のあり方を整理するものである。田村教授らしい視点からの整理が行われている。

2.前提
まず、独占禁止法も不正競争防止法も不正な競争行為を規制している点で共通であるという認識が前提である。その上で、独占禁止法と不正競争防止法の差異は次のとおり。
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3.本論文要旨
(1)捉え方
満田重昭先生が唱える不正競争防止法の捉えかた方との対比で自説を展開する。満田先生は、顧客獲得可能性を保護する法と捉え、市場における公正な給付に到達する機会擁護のための法と考えている。これに対し、田村教授は競争が顧客を奪うのは必然であることから、結局は競争秩序維持と発展にしか不正競争防止法の目的は認められないとするのである。そしてこの捉え方では安易な規制を招きかないという弱点があることを同時に認めている。であるからこそ、違法とすべき行為を明確にすべきとし、明確でないと生じる競争の萎縮効果を懸念している。
(2)違法とすべき行為とは
@不当需要喚起
商品・役務が無駄に供給されるためこれは規制すべきとする。
A競争減殺
必要な供給を維持するために規制されるべきとする。
B成果冒用
フリーライドを容認すると必要な成果開発のインセンティブがそがれ競争社会発展にとって望ましくないと考えられる場合にのみ規制されるべきとする。そして、これは民事的な対処で十分なものと唱えている。
(3)行政規制と民事規制の線引き
行政規制は専門家の判断が介在してから初めて規制される点がメリット。民事の制度にしてそれが濫用されるようなものは、かえって競争の萎縮を招くから制度化してはならず、そういうものが行政規制になじむとされる。

4.私見
独占禁止法との接点についてはさまざまな見解はあるものの、すんなりくるものではある。
今の興味の対象は成果冒用についてなのでこれに絞ると、インセンティブに着目する田村教授らしい見解であることが特徴だ。確かに、不正競争防止法2条3項はインセンティブ論に基づき定められたと思える法規制である。しかしながら、この考えに基づくなら、かなり広範囲の成果冒用も規制できる。どこまでが許されるのかより絞っていく必要があるのではないか。

追記:前提のところで不正競争防止法と独占禁止法は同じ根を持つ旨は田村先生の見解と留保する書き方をしていたが、平成5年に行われた国会審議においても「不正競争防止法は、独占禁止法とともに競争秩序の維持を図る法律でございます」と当時の通産大臣森喜朗が発言している。
posted by かんぞう at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆不正競争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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