2005年11月11日

[知財ライセンス][経済法]ライセンス拒絶

白石忠志『知的財産権のライセンス拒絶と独禁法―『技術と競争の法的構造』その後―』(知的財産研究所「21世紀における知的財産の展望」)読書メモ

1.本論文の意義
著者の「技術と競争の法的構造」(有斐閣、1994年)で示した理論を補強する判例が積み重なってきた旨が中心のようであり、理論的な面を知るのであれば同著に当たった方がよいようである。

2.前提
知的財産権は独占権を権利者に保証するため、独占を禁止すべきというルールとは反することになる。知的財産権の理念は一定の独占に基づくレントを権利者(すなわち創作や発明などをしたもの)に与え産業発展を促し、ひいては産業秩序を維持しようというのもであるから、その前には独占禁止法のルールも後退する、ということになる。独禁法20条はその現れである。

3.本論文要旨
(1)独禁法に反するライセンス拒絶の要件
知的財産権のライセンス拒絶が独禁法上の問題となるのは複数の権利者がそろって拒否した場合や、パテントプールをしている場合にそのプールしている者が拒絶した場合が主であった。しかしながら、諸事例から検討するに、そのような場合に限られず、
@ある知的財産権がある市場において事業活動を行うために必須
かつ
A知的創作のインセンティブ保護 < 商品役務市場で生じる競争減殺の弊害
である場合にライセンス拒絶が独占禁止法上の問題となる。
(2)根底にある考え
市場の範囲策定においては、従来の「技術」と「製品」を二分する考え方(すなわち技術の独占による製品市場独占は許される)から抜け出し、技術だけの市場がある場合を考慮すべきであると著者は言う。すなわち技術がそれだけで市場を形成できるならその製品においての独占は許されるべきではないとするのである。

4.私見
簡素に言うと、EF理論を基に、インセンティブ保護との比較衡量を付加するということになるだろう。なぜ、そうなるのか?についてはこの論文の元になった著書に迫る必要があるだろうが、知的財産権だから特別とする考え方に異を唱える点は、経済法・競争法の理論を整理するものになるのではないかと思う。
しかしながら瑣末な点ではあるが、商標においては別異の扱いをしなければならないところ、上記要件の際に「知的財産権」とひとくくりにすることで誤解されかねない点は疑問である。
posted by かんぞう at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財ライセンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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