2005年11月03日

[知財ライセンス][著作権]ソフトウエア開発委託契約におけるソースコードの帰属

○宮脇正晴『ソフトウエアの開発委託契約とソースコードの取り扱い――「携快電話6」事件――』(知財管理Vol.54 No.12、2004年)の読書メモ

事案は3者出てくるので文字で言うと少々ややこしい。
被告と訴外Aの間でAを受託者とするソフトウエア(「携快電話」)開発委託契約が締結されていた。契約ではプログラム・図面・情報の著作権は委託者(被告)に帰属すると定めていたが、後の合意によってソースコードは前述のものに含まれず、ソースコードの権利は受託者に帰属する(契約書ではさらに「今後、乙はこれを自由に付加開発し、他に開示することが出来る」と記載)と約した。
そこで、Aは原告から同様のソフトウエア開発(「携帯万能」)を受託した際、「携快電話」で使用したソースコードやデータを一部用いた。
被告は「@ソースコードの使用は著作権侵害、Aデータの使用は著作権侵害」として原告に対して仮処分を求めた。これが不法行為であるとして訴えたのが本件である。

興味のポイントは@なので以下はこれにしぼる。

本件では「ソースコード」が何を指すかが問題となった。
原告は、「オブジェクトコードを含む全プログラム」と主張し、被告は「周辺機器のドライバ」だと主張した。いずれも?といえる解釈だが、まあ言うだけ言うてみようということか。
裁判所は、「携快電話」のプログラムのソースコードだと示した。これはきわめて妥当。

ところがこの点、宮脇先生は疑問を示す。
契約に基づきソースコードがA社帰属するという解釈は契約の解釈として問題ないが、オブジェクトコードの帰属はどうなってしまうのか?という点についてである。
一般的にオブジェクトコードは独立した著作物とは考えられていない。ソースコードの複製物か翻案物である。仮に、ソースコードがA社に帰属するとするなら、被告(本ソフトの販売会社)はこれを複製したものに対して著作権を行使できないことになり、そのような契約であれば被告は結ばなかっただろう、と。
すなわち、完全な著作権がA社にあるのでなく、「ソースコードを、ソースコードの形態で複製や翻案等の利用を行う権利」がA社にあるにすぎないと解釈すべきだとされる。
また、そのような解釈においてもデッドコピーは許していないと解すべきとも示されている。

見落としがちな点を指摘していてなるほどと思う。
受託側としてはソースコード利用をしたいところであろうから、この意義は大きいだろう。
委託された製品の中に既存の受託者が著作権を持つモジュールを埋め込む場合も多い。
この場合、著作権の留保をすることになるが、そのとき全体との関係ではどうなるか?
1つの方策としては、全体は編集著作物とするという手があるそうだ。
posted by かんぞう at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財ライセンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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