2008年01月29日

[意匠]Informed Userを判断主体として意匠の構成要素を重み付けし類比判断を行う手法

RCLIP22回に参加してきた。
五味飛鳥弁理士の類比判断基準に関する試論が展開されて非常に興味深かった。
サイバーさんとのお約束もあるので、まずは速報としてメモを…(整理に乏しくて恐縮だが)

■概要
人が「似ている」と判断する評価手法に注目したとき、同種のものとの共通点と差異点について、その物と判断主体との関係性から重み付けを行う、という前提から出発したとき、裁判例が近時一致して採用する類比判断基準(物品の使用態様等を考慮するほか、公然知られた意匠にかかるものと同一の意匠にかかる部位であるか等を考慮する基準(注1))は、似ていると判断する評価手法に親和性がある。この手法は、デザイン保護に適していると評価する(価値評価である)。
ただし、この手法(公知意匠との関係を考慮しつつ、通常の用法を考慮して要部を決する基準)の場合、双方の考慮要素に特徴がある要部の認定ができないことを問題である。
双方の考慮要素が独立してしまうのは、通常の用法を考慮する者が公知意匠を知らないという前提の場合であるから、これを回避するためには、判断主体を公知意匠についてよく知っている者(Informed User)であるとするとよい(なお、ここでOHIMの需要者の判断基準が参考になる)。

■私見
結果的には現状追認型の理論に見えるが、デザインの機能という基礎からのアプローチも試みられていらっしゃり面白い(もっとも、「似ている」と判断する評価手法はデザイン関係者の間では一般的な手法なのだろうか?私は知見が無いからわからないのだが…)。
質疑応答でも挙げられていたことではあるが、3条1項3号においても同様のことが言えるのか、理論的に詰めることができれば、すばらしい完成度になるのではないだろうか。
この試論が面白いところは、従来の創作説、需要説の枠にこだわらなかったところであるが、理論的なコアは創作説的なところにあるのかなぁといった印象であった。

(注1)典型的には〔ゴルフ用ボールマーカー事件〕知財高判平成19年3月27日をあげていらっしゃった。
posted by かんぞう at 01:34| Comment(4) | TrackBack(0) | ☆意匠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ありがとうございました。
日本や欧州は、特許法と別の法律なので大変そうですね。

今、ロシアの意匠にてこずっておりますが、完全にクレームで、A,B,Cとクレームすると審査官がA,B,Cを有する意匠を引用します。その場合、クレームをD,Eであると補正すれば、拒絶理由回避で登録となります。補正は全部とっかえがOKです。図面に表れている範囲において。

この制度だと、出願準備が大変ですけれど、権利範囲はクリアです。
Posted by サイバー at 2008年01月29日 23:05
ロシアの意匠ですか!?それはすごい…。BRICsの影響力を感じます。なかなか日本で解説がされていない国の制度に取り組まれているサイバーさんに敬服します。
(そして、もしかするとロシアの意匠の専門家を探すと行きあたってしまうのでは…と思ってしまいました(笑))

クレーム式だとわかりやすいという意見はありますよね。私も某企業の知財担当者がそのようにおっしゃってました。
意匠公報を見ていると、説明欄にクレームのように書いてらっしゃる方もいますよね。ささやかなメッセージなのかな、と思ってしまいます。
Posted by かんぞう at 2008年02月01日 00:37
てこずっている程度ですから。日本知的財産協会の関東C2コースの意匠のテキストはいいです。日本の意匠法、周辺法、外国制度が含まれており、全部で1300頁です。

昨日は東大の著作権法研究会へいってきました。講師は茶園教授で、「ECJのRafael Hotel判決」でした。講義を聴いていて茶園教授の人柄のよさを感じます。
Posted by サイバー at 2008年02月01日 10:51
日本知的財産協会の意匠のテキスト、すばらしそうですね。意匠制度の網羅的な情報はほかにないように思います。ただ、弁理士さん以外は入手できないのですね…。残念。

茶園教授は確かに人柄の面で優れていらっしゃると思います。(なお、しつこいようですが(笑)私の指導教官であったかについては黙秘します)それゆえ、アグレッシブな見解を述べられることも少ないように思われますが…。
Posted by かんぞう at 2008年02月02日 15:19
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