2007年06月09日

[その他][書評]本間義人『地域再生の条件』

●本間義人『地域再生の条件』岩波書店(2007年)読書メモ

地域の再生成功事例集と言える本で、どのようなことがポイントかの検討を行うのに一つの材料となるものと思われる。

リピーターを集める工夫をした横浜・元町、スローライフの場として棚田を都会の人々に貸し出す鴨川市、地元の良さを生かした町づくりをした会津若松など、いずれも自己の強みを、継続的に生かせる形で再生のきっかけをつかんだ事例が取り上げられている。

成功例に共通するものは、住民の自発的な取り組みと、地域として続けている要素が存在することである、と指摘している点は、うなずける(注1)。地域においてサステイナブルでない、キャッチーなテーマで再生できるほど甘くない、という感覚を抱いているが、本書も、そのことを示唆するもののように思えた。

ただし、この本の第1章、筆者の価値観を大きく反映した章については異論が多々ある。本書の切り口を示している章なのであるが、まず、「人権の尊重」こそ公の役割であるとした上(注2)で、そこからブレイクダウンし、「ノーマライゼーション」と「交通弱者の救済」が必須の条件である、とし、後者については再三のみに着目して第三セクターの鉄道を廃止することは「人権を損なうもの」と評価している。どうように「公営住宅」がないこともセーフティーネットの欠如としている。

ここでいう「人権」が何をさすのかわからないが、仮に「人間的な生活の保障」の意味での人権と捉えるなら「鉄道がないこと」や「公営住宅がないこと」は人権侵害に当たらない。鉄道については、バスなりタクシーなり代替手段の提供もあり得るし、運賃補助という手もある。思い切って白タク解禁を特区で唄うのもありかもしれない。住宅については、単に家賃補助をすれば良い。

以上のように筆者の価値判断の点において問題は感じるが、事例集としての価値はあるものと思われる。

(注1)なお、これに加えて本間教授は国の施策が地方の特性を生かしておらず画一的であったことを批判する。過去にあってはそうなのかもしれないが、現代においては、中央の取り組みに甘んじ、自らのレベルにブレイクダウンを行ってこなかった地方自治体が一部に存在していたことが要因の一つであるように思われる。
(注2)「人権」とまで持ち出す必要があるのか、という疑問点がまずあるのだが、これについては高齢の識者は比較的好みやすい議論の仕方なので一歩譲ることとする。
posted by かんぞう at 01:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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