税金滞納者からの差し押さえ品をもとに、国税庁が6月から入札を始めるネットオークションを巡り、文化庁が「著作権法違反の疑いがある」と指摘していることが分かった。(NIKKEI NET 2007/5/31)
ネットオークションでは美術の著作物のプレビュー画像が欠かせない。それが公衆送信権侵害および同一性保持権侵害(これはプレビュー画像では通常元の絵を小さく映したり、トリミングが行われるため)になる、という指摘を行ったものと思われる。確かに、形式的には公衆送信権侵害に当たる。しかし、著作権侵害としてしまってよいのか?きわめて疑問である。
既に田村先生がその論文(田村善之「絵画のオークション・サイトへの画像の掲載と著作権法」知財管理56巻9号(2006年)1307頁以下)で指摘されていることがだが、頒布権を持たない絵画等の著作物の著作権者がネットオークションを通じた売買については事実上コントロールすることが可能になってしまうところに問題がある。
そんなところまで著作権で塞ぐことが、文化の発展につながるとは思えない。
田村先生が32条の解釈問題で解決しようと試みているのであるから、文化庁として行うべきは国税庁にケチをつけるより、この問題を法制度の問題として俎上にあげることではないだろうか。引用規定を多少書き換えるのか、あるいは、新たな権利制限を設けるのか、はたまた、フェアユース規定導入に議論を行うか、アプローチはいくらでもある。
こんなことを繰り返していると、著作権は旧弊な制度の保護者になりさがってしまう。まぁ、それが「文化伝統を愛する」「美しい国」のツールだと言われれば、もう手に負えないわけであるが。


