2007年05月04日

[知財一般][やるべきこと]パブリシティ権を整理する枠組みについてのおもいつき

早稲田大学のCOEのひとつ、RCLIPの研究会(第19回)に参加してきた(レポートがちょっと遅くなってしまったが…)。今回の担当は上野准教授(立教大学)で、パブリシティ権についての考察がテーマであった。

パブリシティ件については、権利の法的性質論においての対立が注目されがちなものなのだが、上野准教授は、性質論から議論をスタートすることは議論を不毛なものにしかねないと指摘されていた。この指摘には賛同する。パブリシティ権一般の議論に用いる際に性質論を強調すると、そのあとの話がドグマティックになるように思う。もちろん、法的性質論は(注1)、判決の解釈としては意味があるだろうが…(注2)。

上野准教授の話は示唆的で思うところがいろいろあった。こういう風に考えれば議論の整理に繋がるのではないかなぁ、という枠組みを思いついたので、覚書として残してみる。読者の意見をいただけると幸いである。

まず、「パブリシティ権」の用語でどこまで論者が意識しているかを整理してみたい。おそらく、パブリシティ権との用語で保護されるべきと考えている利益領域にはズレがあると思う。また、法律家の机上の空論にしないためにも、保護して欲しい!というニーズもここに入れて考えるべきだろう。
その上で、それぞれの利益を保護するメリット・デメリット、また、他の法律との抵触・不整合のチェックを行う。

次に、既存の法枠組みで保護が可能か、を検討する。
人格権で可能なもの、および、不正競争防止規範としての枠組みで保護可能なもの、については当面は民法709条の枠内で捉えていくことになろう。

最後に、それぞれの利益を(a)排他的権利とした場合、(b)報償請求権として構成した場合、それぞれについて費用・便益の分析を行う。

最後の分析は立法論において求められることで違和感があるかもしれない。しかし、私はパブリシティ権の問題は最終的に立法的解決がいるのではないかと思っている。
また、この検討枠組みは、パブリシティ権を1個の権利とするのでなく、多層的な法的性質を持つものとして構成している。パブリシティ権の本質に基づいた大胆な再構成を図るものではない。この点は批判を受けるところだろうが、安定性のある解決を図る点でメリットがあるとは思うのだが…。
(注1)財産権説、人格権説、不正競争防止規範説、インセンティブ説である。学説については、内藤篤=田代貞之『パブリシティ権概説 第二版』(木鐸社、2005年)に詳しい。
(注2)ちなみに上野准教授は詳細な判例分析を行って、人格権説が有力であることを指摘されていた。
posted by かんぞう at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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