2007年03月12日

[知財の本]カミール・イドリス『知的財産―経済成長の有効な手段―』(2004年、発明協会)

WIPOの事務局長であったKamil Idris氏の著書、"INTELLECTUAL PROPERTY -A POWER TOOL FOR ECONOMIC GROWTH"の訳書を読んでみた。正直に言うと訳書は訳次第で中身が大きく変わってしまうので、可能な限り原著で読みたい…というのが本音である。だが、原著は語学が出来ないものには時間がかかるので、今回はありがたく日本語のを読ませてもらった。

内容としては知的財産一般(特許、著作権、商標(地理表示含む))、それから近時、国際的な知的財産議論で話題になっているTraditional Knowledge(伝統的知識)について、なぜ保護が必要か、保護をするとどういう良いことがあったか、を中心に概説をしている。おそらく、ターゲットは発展途上国にあるものと思われる。

その分、理論的な点では少々物足りない。知的財産権の優位性についてベストプラクティスをざっと並べたという感も否めない。また、伝統的知識の保護については、残念ながら説得的な理由は見出せなかった。本音を言えば、知的財産の枠をかぶった抽象的な発展途上国支援のようにも思えてしまった。

とはいえ、世界各国のベストプラクティスを俯瞰できるのは興味深い点ではある。インドネシアのブランドの話なんて、日本ではまず聞かないような話が出てくるところに面白さがある。

惜しむらくは、訳が若干硬く、読みづらいのと、少しながら誤訳もあるところである(たとえば、stakeholderが「株主」と訳されている)。
posted by かんぞう at 23:54| Comment(4) | TrackBack(0) | ★知財の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昨年の3月の時点で、「WIPOの事務局長であった」とご紹介しているあたり、かんぞうさんは、年齢詐称問題を予測されていたのかもしれません。さすがです。

国連では、どうしても、発展途上国が有利になるのでしょうね。何せ、1カ国1票ですから。WIPOの次の事務局長、誰がなるのか、注目されます。
1999年に来日したときには、たしか、日本で一泊もしないで、機中2泊で帰られたと聞いております(行き1泊、帰り1泊)。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/idoris0131.htm
Posted by サイバー at 2008年02月03日 22:06
そうなのです!私は未来が見え…るわけもなく、明日すら真っ暗です。おはずかしながら、間違えてました。

JPOの高木さんも事務局長選に出られているようですね。パワーバランスの関係上、途上国で有力国の言うことを聞く人がチョイスされやすいのでは、と個人的に感じています。


Posted by かんぞう at 2008年02月06日 23:26
やはり、高木さんがでますか。頑張っていただきたいと思います。順番からいくと今度は、先進国かと思います。オーストラリアのガリさんがでなければ、決まりか?


Posted by サイバー at 2008年02月07日 00:42
先進国で言うとフランスからはPetit氏が出てますね。
現状の候補では、高木氏は東アジア諸国、北米の票がとれるのでしょうか…。気になりますね。
http://www.wipo.int/meetings/en/details.jsp?meeting_id=15326
Posted by かんぞう at 2008年02月09日 23:33
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