2007年01月31日

[その他][民法]射倖契約と有意義な棘

●森田果(もりた・はつる)「射倖契約はなぜ違法なのか」NBL849号(2007年)35頁以下 ざっと読書メモ

知財の話題ではないが、刺激的な内容であり、また、学ばされるところもあった論文。若手の力のある学者の書いた生きのいい論文で、切れ味が鋭い。なにより面白い(interestingとamusingの両方の意味で(笑))。

1.論文のえー加減な概略(門外漢なのでまともにまとめる能力も無いが)
「射倖契約」、すなわち、「偶然の利益を得ることを目的とする契約」(『大辞林』より)は、公序良俗に反するとの処理が日本ではなされてきた。では、なぜ違法(あるいは公序良俗に反する)といえるのか。
この説明をするのに、フランス法での議論を用いるべきだという意見がある。フランス法での分析によれば、「偶然性」が、違法性の論拠だというのである。
しかし、これは説明になっていない。偶然性を言うならば、保険契約もデリバティブ契約も偶然性をもつものである。そうであるならば、違法性の論拠は他に見出さざるを得ない。
ここで、ファイナンスの視点から分析を加えると、興味深いことが分かる。保険契約やデリバティブは、当事者がリスクを避ける選好を有するときに合理的なものである。同時に、射倖契約である賭博契約も当事者がリスクを好む場合には合理的なものなのである。
しかし、後者は当事者の中で合理性があっても社会的効用をもたらさず、また、派生する効果の懸念から、禁止されているものと考えられる。

2.感想
本論もさることながら、「比較法をやったからって、なんでもかんでも使いたがっちゃダメ。使えなかったら捨てる勇気を。」という趣旨のメッセージがあり、身につまされた(もっとも、私の場合は日本法で調べたことを何でも載せたがる、という傾向があることに対する反省である。比較法すら出来ていない努力・能力不足の輩である)。
ところでこれは、第70回私法学会の個別報告で大盛り上がりを見せたやり取りがあったようなのだが(私はそのやり取りの場にいなかったが、参加していた先輩から聞いた)、その当事者からの論稿である。それゆえ、相手方への鋭いとげがしっかり埋め込まれている。
ちなみにハツル先生のブログによると、NBLの検閲…ではなく自主規制がかかった論文らしい。あれで、マイルドなのか!?と思う(笑)
posted by かんぞう at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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