2006年11月13日

[著作権]応用美術の保護基準―作花説―

●作花文雄「著作権制度における美的創作物(応用美術)の保護――法目的制度間調整に基づく著作物相応性の視点による対象範囲の確定基準――」コピライト544号(2006年)44頁〜読書メモ

応用美術の保護について、意匠権との調整を図る必要があるとの立場に立ちつつも、従来と若干異なる基準で応用美術の保護の当否を決めるべきとする論稿である。従来の判例が指し示すような「純粋美術と同視しうる程度に美的鑑賞の対象になりうるか」否かで、著作権法上の保護の当否を決する基準を批判し、制度的調整であることを正面から認め、美術の著作物としての保護相応性を、当該物品の分野での生産・利用上の弊害を勘案して決する立場を示すもので、応用美術の法的保護について、ひとつの参考となるものと思われる。

1.この論文の概要
(1)応用美術の概念の転換
応用美術については、従来、純粋美術と対になる概念として受け止められてきた。両者を分ける基準に創作の意図や目的を据えるものがあるが、目的において実用目的と鑑賞目的は並存することがあるのであり、おかしい。そこで、応用美術は利用態様に応じた概念であると整理をする(作花・47頁)。従来の裁判例は、「純粋美術と同視しうる程度に美的鑑賞の対象になりうるか」を判断基準にしていたが、「純粋美術」も多様であり何をもって基準とするか明らかでない(作花・47頁)。さらにいえば、純粋美術にあたるか否かで「高度の創作性」を問うものは、それが司法審査になじむかという点で疑問がある(作花・56頁)。
(2)実用品であるがゆえの制約要素と判断基準
実用品である場合、付加的デザイン(たとえば、物品の面の上に模様などをつけたもの)であれば機能に基づく制約は受けないが、そうでなければ、機能と審美性をどのように見分けるかが問題となる。この点、物理的な分離可能性を問題にすると、特異な要素を付け加えたもののみが保護され、デザインに対する社会的通念上の評価と乖離しかねない。著作権法上の保護を与えることの当否、という観点から審美性を問題とすべきである(作花・58頁)。

2.私見
雑な理解かもしれないが、従来の裁判例とそれほど距離のある見解ではなく、むしろ、大きな流れに対して整合的な説明を加えるものであるようにも思われる。ただし、そもそもの前提として、制度間調整を図る解釈論をとるべきかについては異論もあろう(半田正夫「応用美術の著作物性について」青山法学論集32巻1号(1990年))。ともあれ、少なくとも、立法の課題としてデザイン保護のありかたは今後の大きな課題である。
(…といったあたりで、私見は留保。難しい!)

なお、私は、本来は著作権法上保護されうるが(機能性の縛りで創作性がないものは別)、意匠権との重複、そしてそれにともなう意匠権の意義の毀損(より深く言えば、意匠法が創作奨励のため保護期間後の自由利用確保を行ったことの意味を無にする――もっとも、意匠法をこのように解釈することが前提で、異論はあろうが――)から、応用美術と呼ばれるものについては、特別な基準を設けている、それが、裁判例では「純粋美術と同視しうるか」という基準である、と整理している。おそらく一般的な整理だと思うが…。
posted by かんぞう at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆著作権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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