2006年11月02日

[不正競争]市場地位権説を読んでみた

●満田重昭「不正競争防止法による知的財産権諸法補完の根拠」鴻常夫先生古稀記念『現代企業立法の軌跡と展望』(商事法務研究会、1995年)822頁〜読書メモ

1.この論文の意義
不正競争防止法と知的財産法の関係について、概念的な点から検討している。顧客獲得可能性という市場地位という無体の財産が不正競争防止法の保護法益であるとし、無体の財産を保護するという点で知的財産との連続があり、これを補う関係があると述べられているらしい。らしい、というのも伝統的なドイツ流の議論の仕方で、ちょっと読みづらくて…。何が言いたいんだろ〜と思い悩んだのは、きっとオイラの勉強が足りないのだろう。

2.この論文の概要
(1)問題意識

知的財産法は、排他的支配権を設定するものであるが、それは行為規範の典型的なものとしての設定であり、その点で不正競争防止法と同質性がある(824頁)。権利付与かそうでないかという違いをいたずらに強調する意味は無い。では、更に進んでどういう点で連続性があるか(または無いのか)を、不正競争防止法の理論的根拠を見ることにより検討する。
(2)不正競争防止法の理論的根拠
不正競争防止法の元となった、1925年ヘーグ会議での経緯に基づけば、「営業体の有する顧客吸引力」がその根拠であるとされる。顧客吸引力に裏付けられた顧客獲得可能性は無体財産として捉えることができるが、これは競業関係の中でのみ削がれるものではない。市場地位という権利を考えることは、問題を単に競争者間に押し留めない点で有益である。また、権利として観念することで、政治的・経済的自由の保護も意識される。
(3)顧客獲得可能性の保護
顧客獲得可能性の侵害行為に対しては、不正競争防止法に一般条項が無い現状で、利益考量による違法性認定を経て一般不法行為の問題とするべきである。

3.私見
市場地位権の論拠は、結局のところ、不正競争防止法の規定の仕方からの解釈、および、「母法」での経緯にあるのでは無いか、と思われた。なぜ、「市場地位権」を観念しなくてはならないのかという必然性については疑問を感じる。
この点については、田村教授が不正競争防止法をわざわざ私法として意識するための「権利」概念であり、少なくとも立法論としては自由に考えられる、との批判をされている(『競争法の思考形式』(有斐閣、1999年)5頁)(また、2005年11月10日の記事参照)。
ただ、その有用性は2点あるのではないか。今後、検討する余地があるように思われる。
・行為規範を利益衡量によって決する立場からは有用である可能性がある。市場地位という権利をどのように根拠付けるかによるが、仮に営業の自由の表れとして理解するのであれば、利益衡量の中で劣後しやすい単なる財産権以上の考慮がなされることになるように思われる。
・少なくとも不法行為の問題場面では、不法行為理論との接合が容易であると考えられる。
posted by かんぞう at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆不正競争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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