2006年06月07日

[不正競争]2条1項1号・2号の請求主体

●中山信弘「不正競争防止法上の保護を受ける地位の譲渡可能性」小野昌延先生還暦記念論文集『判例不正競業法』41頁(発明協会、1992年)読書メモ

1.この論文の意義
バター飴缶事件(札幌高裁決定昭和56年1月31日無体集13巻1号36頁)の判例評釈を中心として、不正競争防止法2条1項1号・2号の保護法益を明らかにし、その請求主体の地位の承継は営業譲渡を伴うの場合以外には認められえないとするものである。

2.この論文の概要(2条1項1号・2号の請求主体に関するものについて)
(1)両号の保護法益
2条1項1号・2号は、商品等表示を独立した財産権のように保護するものでなく、営業と一体となったグッドウィル(顧客吸引力)するものと考えられる。それゆえ、請求主体の地位の承継が認められるか否かは、営業譲渡を伴う場合と、そうでない場合を明確に分ける必要がある。
(2)場合わけ
(i)営業譲渡を伴う場合
グッドウィルの移転があるか否かが問題となるのであり、会社法上の手続きがとられたかは問題とすべきでないとする。すなわち、営業譲渡か否かについては解釈の余地が存するのである。
その上で、営業譲渡がある場合は請求主体の承継を認めるべきであるとする。なぜならば、企業の再編によって突然保護される地位が失われるのは不当だからである。
(ii)それ以外の場合
商号や商標権については権利変動について諸々の規制をかけている。他方、商品等表示につき自由な譲渡性を認めるのであれば、バランスを欠く。また保護法益を考慮しても、請求主体の地位の譲渡性を認めるべきでない。

3.私見
説得的な見解であり、賛成する。
注意を要するのは、2条1項1号・2号の請求主体の地位の譲渡性が否定されるのは、その保護法益が営業と一体となった顧客吸引力だからであり、3号などでは同じことが言えるわけではない点である。なお、3号の請求主体については、宮脇正晴「日本国内における独占的販売権を与えられた独占的販売権者が、不競法2条1 項3号による保護の主体となるとされた事例−ヌーブラT事件」判例評論567号199頁〜が詳しい。
posted by かんぞう at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆不正競争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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