○1審:東京地裁平成17年5月17日判決
(平成15年(ワ)第12551号・平成16年(ワ)第8021号)
○2審:知財高裁平成18年3月15日判決
(平成17年(ネ)第10095号・平成17年(ネ)第10107号・第10108号)
●創作性の判断について
1審は従来の裁判例どおり「ありふれた表現」とする創作性否定を行っているが、その基準は、目的による表現選択の幅の少なさを指摘しているものと思われる。(2審との評価の差については疑問があるが、今後検討すべき課題)
ただし、処分権行使が原告の示した対照点に限るとした点は、ホテルジャンキーズ事件控訴審判決との整合性も欠くほか、訴訟指揮においても問題があったように思われる。
本来は、著作物全体として評価され、その創作性が肯定されるべき事案(裁判所は部分ごとの文章の創作性を否定したので、あながち間違っているとはいえない。)と考える。
●成果冒用について
不正競争防止法2条1項3号型の成果冒用を不法行為とした点で、木目化粧紙、YOL記事見出しに継ぐ事件として、意義がある。ただし、著作物でないものを不法行為の対象とすることに問題があるとの指摘があった。今後検討すべき課題である。