2006年05月03日

[特許]冒認出願に対する真の権利者からの設定登録移転請求の当否

松田竜「冒認出願と真の権利者保護」『知的財産法政策学研究』3号(2004)195頁〜(原文を掲載している北大へのリンクを貼っています)

1.この論文の意義
松田氏は弁護士であるが、特に実務の視点からの検討を加えたのでなく、理論的な検討を行った論文である。平成13年の生ゴミ処理装置事件(最高裁平成13年6月12日判決)、平成14年のブラジャー事件(東京地裁平成14年7月17日判決)を中心に裁判所の理論の流れと学説について整理を行っている。

2.この論文の要約
平成13年以前においては、真の権利者が出願した後、無権利者が出願人名義を変更した場合、権利登録前であれば真の権利者が特許等を受ける権利の確認が出来ることは承認されていた。しかし、真の権利者が出願した後、無権利者が出願人名義を変更した場合でも、設定登録後は権利移転登録請求は認められないとする立場が多数であった。
その中で登場したのが平成13年判決であり、同判決は、移転登録請求を認めたが、その射程が学説上の問題となり、高林、田倉、盛岡、川口の各氏からそれぞれ見解が出てきた。松田氏は、特許制度は発明者が公開を行う代わりに独占権を付与するものであり、出願する意思が明らかでない場合の保護性は低いとする(いわゆるインセンティブ論)。それゆえ同判決は、真の権利者の有していた特許を受ける権利と査定登録が為された特許権とが連続性を有する場合のみであるとする。
この視点からは、平成14年判決は当然の帰結となる。
また、右視点からは、無権利者による補正により権利が成立した場合には連続性を欠き、移転登録が認められない場合が多いということになる。
加えて、松田氏は、移転請求が認められた場合でも、冒認出願であることは承継され、それゆえ無効審判請求可能であることを問題点とし、審判請求権者は制約されるべきと主張する。

3.私見
若干不明な点は気になるものの、丁寧な整理であると感じた。
なお、同じく知的財産法政策学研究の10号には吉田助教授が冒認出願に関して論文を寄せている。
本こちら(北大へのリンク)
posted by かんぞう at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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