2010年06月06日

[特許]侵害訴訟での無効抗弁のダブルトラック化での無効審判・訂正審判の結果の取り扱いに関する覚え書き

高部真規子「特許の無効と訂正をめぐる諸問題」知的財産法政策学研究24号(2009年)1頁-24頁(北大Webサイトで入手可能)読書メモ

無効審判、訂正審判、侵害訴訟の帰趨相互の関係を網羅的に整理したもの。実務上の重要な俯瞰ができるうえ、立法的課題も明確にしている。

■論文の中で筆者が学んだ点
・侵害訴訟で請求認容後、無効審決が確定した場合、104条の3が制定された現在においてこれが再審事由となるかについては、見解が分かれている。再審事由にあたるとの見解もある一方、民事訴訟法338条1項但し書きを類推適用、または、その趣旨をふまえて信義則違反とすることにより再審を常に否定、または、否定する場合があるとの見解も存在する(高部判事は後者を採っている。)。紛争の一回的解決を目指すのであれば、本来は立法的な手当として、ダブルトラック下における調整規定が必要であった(11頁)。
参考:民事訴訟法338条1項但し書き
ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
・侵害訴訟で請求棄却後、訂正審決が確定した場合、〔ナイフの加工装置〕事件最高裁判決(最判平成20年4月24日民集62巻5号1262頁)の法廷意見(なお、同事件は侵害訴訟の上告審が継続中の事案であり前提が異なる)に基づくと再審の余地があると考えられるが、これだと特許権者は蒸し返しのために訂正を悪用できる。高部判事は、訴訟上の信義に反するとして際しひんを否定すべきと主張されている。
・侵害訴訟で請求認容後、訂正審決が確定した場合、〔ナイフの加工装置〕事件最高裁判決(最判平成20年4月24日民集62巻5号1262頁)の泉判事意見に基づくと再審の余地がある。この場合、無効審決の場合(一番上のナカグロ)のように再審を申し立てる側(侵害者)は訂正を申し立てることはできないので、これを侵害訴訟中に行わなかったからといって訴訟上の信義則に反するという処理をすることはできない。しかし、侵害訴訟で請求認容後、無効審決が確定した場合とのバランスを考えれば再審を制限する余地があるのではないか(ただしその手法は立法による)と高部判事は指摘されている。

■(追記:2010/06/07)立法的対処の検討状況
現在、産構審知的財財産政策部会で議論が進んでいる。論点がわかりやすくまとめられている資料として、特許庁「特許制度に関する法制的な課題について」産業構造審議会知的財産政策部会 第25回特許制度小委員会 資料3(2010年)参照。
posted by かんぞう at 00:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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