2010年03月13日

[知財一般]弁理士の展開先としての知的財産コンサルティング市場は本当に小さいのか

産業構造審議会 第13回知的財産政策部会の資料を見ていると、来期の知的財産(産業財産権関係)政策の柱は、(1)特許活用の促進、(2)知的財産権制度の国際的な制度調和、(3)中小企業等幅広いユーザーを支援する知財制度の利便性向上、(4)特許料金の見直し、の4つのようである。

このうち、中小企業に関する資料を読んでいると、弁理士の展開先としての知的財産コンサルティング市場(注1)は、少なくとも中小企業を相手にする限りにおいて潜在顧客は少なくないのではないかと思わせるような点がいくつかあった。もちろん、中小企業相手では十分なリターンが得られないというご指摘もあるだろうし、市場というのは潜在顧客×単価で決まってくるので、後者が小さいと意味がないというご批判もあると思うが、ここでは潜在顧客数のみを問題にする。

さて、関東経済産業局が2008年に中小企業に対して実施したアンケート調査(有効回答654社)(注3)によると、中小企業の知財経営における問題点のうち、もっとも顕著なものは、「知的財産の権利化や権利侵害への対応のための人材が不足」(50.1%)とあり、同時に「知的財産の戦略的な権利化ができていない」(25.9%)も多数指摘されているる中で、「適当な弁理士・弁護士等の専門家を確保できない」(4.5%)ことを課題に挙げている企業はごく少数にすぎない(55%)。

社内人材は不足しているが、弁理士は確保できている、という様子がうかがえる。しかも前者が課題として強調されている。ここから、中小企業の少なくとも1/3程度は権利化・権利侵害対応を内製化しようとしている傾向が示唆されないだろうか。

実際、日頃から外部専門家(弁理士、弁護士、コンサルタント)に相談していると回答した企業は21.4%(43頁)であり、多い数字とは言えないように思われる。とくに知的財産担当者をおいていない企業(兼任としてもおいてない場合も含める)が34.0%(36頁)あることを考えると少ないようにも思える。

しかもアンケート対象企業の中で弁理士を利用したことがある企業は53.2%もある(29%)。これは、かつて関わった弁理士が企業のニーズを満たしていなかったということを示唆しているのではないだろうか。もちろん、これまでは知的財産コンサルティングに対して十分な対価を払う意思が企業側になかった可能性が少なくないが、これほど知的財産権が大事と言われるようになっていると状況が違ってくるようにも思う。

(注1)特許庁「知的財産政策の今後の方向性について」産業構造審議会第13回知的財産政策部会資料1(2010年) available at JPO Web site
(注2)弁理士も従来の出願代理業務だけでは市場に限界があり(リーマンショック前の統計に基づく推計値では約1,600億円)、新たなビジネス展開が求められているようである。
(注3)関東経済産業局『中小企業のための知財支援策活用集』
posted by かんぞう at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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