リハビリがてらぼちぼちと覚え書きを残していく。
日本はイノベーション力に弱い、と言われている。
言われている、というか、そういう前提で霞ヶ関の虎ノ門に近いあたりのビルにいる人たちも、本でもだいたいそういうトーンで書かれている(注1)。
確かに、世界的に目を引くようなものを、必ずしも生み出せていなくて、アメリカの発想に乗っかって稼ぎを得ているだけで、将来性がないんじゃないか、なんて思いもしないでもない(言い換えると、日本は「モノ」づくりには強いが、「こと」づくりには弱い、ように思える、ということである)。
実際、研究開発効率も落ちている(注2)。
だけど、アメリカから見るとそうではないらしい。Newsweek誌とPenn, Schoen & Berland Associatesが行った米国の成人に対するアンケート調査では、技術革新力の高い国として、米国以上に日本を挙げている(米国が技術革新力の高い国と挙げた回答者が73%であるのに対し、日本を技術革新力の高い国と挙げた回答者は81%。なお、中国は50%、ドイツは42%にすぎない)(注3)。
もちろん、これはある種の人気投票ではあるから実情を反映している訳でもない。また、回答者の中でのイノベーションの定義がどのようであったのか定かでない。いわゆるprocess innovationを含むのであれば、日本は革新的な国だろう。日本は、process innovationがお家芸と言われている。
とはいえ、アンケート結果には少し自信を持っても良いのかもしれない。日本が革新的でないとの漠然とした思いをもつ背景には、基礎研究ただ乗り論の名残がまだあるのかもしれない。あるいは、単に高齢化に伴って精神的な活気が低下しているのかもしれない。きちんと見極めた方が良い。TIME誌が先日取り上げた「アメリカが中国に学ぶべきこと」で挙げられていた一つが、"Be Ambitious"だった。
(注1)岸宣仁『知財の利回り』(東洋経済新報社、2009年)はこれに関する日本国内での問題意識も大変わかりやすく整理している(主眼は違ったところにあるが)。
(注2)『ものづくり白書2006』
(注3)ダニエル・マギン「アメリカが失ったイノベーションの力」Newsweek日本語版2009年12月9日号42頁。