2009年10月01日

[特許][時事]知的財産権の非係争条項と拘束条件付取引

標準関係を追いかけている人間には、興味深い事案が出た。

■Qualcommに対する排除命令の理由の概要

公正取引委員会から「クアルコム・インコーポレイテッドに対する排除措置命令について」とする報道発表が行われた。

Qualcommが保有するCDMA標準の必須特許のライセンス契約の中に、条件として以下の3つが含まれていた(なお、原文を言い換えている)。
(1)ライセンシーは「CDMA携帯電話端末及びCDMA携帯電話基地局に用いられる半導体集積回路等の製造、販売等のため」の知的財産権をQualcommに無償で許諾し、その知的財産権を侵害するCDMA携帯電話万末及びCDMA携帯電話基地局の使用についてQualcommに権利主張を行わないこと
(2)ライセンシーは「CDMA携帯電話端末及びCDMA携帯電話基地局に用いられる半導体集積回路等の製造、販売等のため」の知的財産権を侵害するCDMA携帯電話万末及びCDMA携帯電話基地局の製造、販売、使用について、Qualcommの顧客に権利主張を行わないこと
(3)ライセンシーは「CDMA携帯電話端末及びCDMA携帯電話基地局に用いられる半導体集積回路等の製造、販売等のため」の知的財産権を侵害するCDMA携帯電話万末及びCDMA携帯電話基地局の製造、販売について、Qualcommのライセンシーに権利主張を行わないこと

これが、拘束条件付取引に該当するとして9月28日付で排除命令を受けている。

理由を見ると、
・国内事業者においてCDMA携帯電話端末の製造・販売において当該特許のライセンスを受けることが必須と考えられていること
・「CDMA携帯電話端末及びCDMA携帯電話基地局に用いられる半導体集積回路等の製造、販売等のため」の技術の研究開発の意欲がそがれること
・Qualcommの当該技術を用いる市場(CDMA携帯電話端末市場および同基地局市場と考えられる)における有力な地位が維持されること
が要素となっているようだ。

■これまでの傾向

知的財産の非係争条項を巡る事例は、最近ではマイクロソフト非係争条項事件(公取委審判審決平成20年9月16日(注1))があり、本件同様、知的財産権者の市場支配力がポイントであった(ただし、本件はより技術上の支配力に力点がある)。

(注1)判例評釈として、栗田誠(2008)「独禁法事例速報 パソコン用基本ソフトのOEM販売契約における非係争条項が拘束条件付取引に該当するとされた事例――公取委審判審決平成20.9.16」『ジュリスト』,1367号,pp.96-97. 宮井雅明(2008)「ウィンドウズのOEM販売契約における非係争条項――公正取引委員会平成20.9.16審判審決:マイクロソフトコーポレーションに対する件」『公正取引』,98号,pp.26-31.
posted by かんぞう at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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