2006年02月05日

[特許][時事]キャノンインクカートリッジ事件

知財高裁平成18年1月31日判決(平成17(ネ)10021号)

1.事実の概要
C社が特許を有するインクカートリッジ(液漏れを起こし難いインクカートリッジおよびその製造方法、以下本件特許権)の使用後のものに対しインクを再充填する行為が本件特許権の侵害に当たるかが争われた。
被告は販売により特許権が消尽していると主張した。原審は、物の権利については消尽するとする一方、生産する権利は消尽がありえないので、新たな生産か修理に当たるかで検討するべきであり、本件においては修理であるとして原告の主張を退けた。

2.判旨概要
まず、権利は販売さえされれば消尽されるものではなく、特許発明公開の対価として想定される部分を越えたものには特許権が及ぶとした。そして具体的類型として、(1)耐用期間を経過し効用を終えた後の再使用・再生利用、(2)特許発明の本質的部分を構成する部材の全部または一部につき加工または交換がされた場合、の2類型を挙げた。本件においては、(2)に該当するとして特許権侵害を認容。

3.解説
特許権の消尽について具体的な判断枠組みを示したものである。
従来は生産・修理の両区分によっていたが、効用を終えたあとの再利用という基準が加わった。
なお、リサイクル品の販売を否定するものではないと強調している点にも注目しなければならないが、特許権と地球環境保護を衡量したわけではないので誤解をしないように。

4.私見
キャノンが有する特許をめぐるものであるので、プリンタ用インクすべてが対象となるものでなく、実質的にも妥当である。法律論からしても異論はない。
柔然からリサイクル品を巡っては、商標、形態模倣等の訴訟が起こされていたが、それらとの位置づけも注目されよう。ただし、戦略法務の観点からはこの判決はC社にとって得であったかは疑問。
C社のカートリッジはリサイクル品が無く、高くても仕方ないけど、他社のはリサイクル品が出回るかもよ、ということを示唆しているのだ。
消費者側はランニングコストに注目してプリンタを選ぶ必要があろう。
(なお、ランニングコストを一番わかりやすく開示していると思えるのはC社だったりする…。)
posted by かんぞう at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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