Microsoft社の製品の販売差し止めが命じられた、ということに特に注目が集まっているようだが、W3Cの標準規格であるXML規格に関連した特許権行使であることも気になる。
侵害が問題となった特許は、米国特許登録第5,787,449号(注2)である。素人目ながらクレームをざっと見ると、XML規格自体に関わるような広い特許であるように読める(注3)。
なお、XML規格の特許声明書の提出状況をみると、i4i社からの提出は見られない。
仮にそうであるとすると、XML標準規格へのアウトサイダーからの特許権行使事例として位置づけられるのではないか。標準規格に対する特許権の行使はこれまでも問題となってきたが、新たな事例がつけ加わることになる(注4)。
他方で、XML規格自体には関係ない可能性もうかがえる。
CNETニュースによると
「わたしたちは、Microsoftの事業を停止させることを求めているわけではないし、世界中のすべてのWordユーザーに干渉することも求めてはいない」とOwen氏は米国時間8月12日、電話インタビューの中で述べた。今週の判決は、i4iのカスタムXML技術を使用する形態でWordを出荷することのみを禁じる差し止め命令である、とOwen氏は付け加えた。
(出典:CNET Japan「「Word」を市場からなくすことが目標ではない--i4i会長、電話取材に応じる」(2009年8月14日翻訳記事)
とある。
そうであるならば、Microsoft Wordが独自に採用したCustom XMLのみが問題となったのかもしれない(しかし、XMLファイルを開くことができるMicrosoft Wordを差し止め対象としていることとは整合性がない)。私は関連の技術が全く分かっていないために判断できない。今後の詳細な解説を待ちたい。
余談ながら、注にも記したように、本件の特許権はそもそも有効なのか?というところの疑問は少なくない。しかし、原告(特許権者)勝訴の判決が下されたのは、陪審が既に特許権侵害を認定していたからであろう。
(注1)概略はITmedia News「Microsoft、米地裁から「Microsoft Word」販売差し止め命令」(2009年08月13日08時56分記事)に詳しい。
(注2)明細書はこちら。
(注3)もっとも、そうであるがために、新規性を欠いているのではないか、との指摘がWeb上には存在する。
(注4)ただし、今回の当事者であるi4i社はいわゆるパテントトロールとはほど遠く、これまでもXMLに関連した製品開発を行っている。そのような背景がある中で、おそらく、無茶な特許権はしないであろうことが推測できる。



