2009年08月14日

[知財一般]企業活動のグローバル化=同一の知的財産権の国際的な出願の促進ではなさそう

市場がグローバル化していると言われているが、ある特定の製品・サービス(そして、組織)がグローバルに展開できるかというと、そうではないことをハーバード大のGhemawat教授は示している(注1)。

文化的、社会的な隔たりがある中で、隔たりが比較的小さい適切な国・地域で集約し効率化を図ったり、その隔たりをうまく活用したり、あるいは、隔たりに適応することが望ましい、とGhemawat教授は述べている。

とくに、研究開発集約度の高い産業では国・地域を超えた組織の集約戦略をとることが望ましい場合が多く、広告宣伝集約度の高い産業では国・地域への適応戦略をとることが望ましいようだ(注2)。

この指摘が正しいとすると、知的財産権の国際的出願を評価する際に、以下の点に留意するべきであることがわかる。

・制度的な障壁があり、同一の技術を国際的に展開できないような場合(たとえば、安全基準や国別の技術標準に適合しない(注3)場合)で、かつ、輸送にコストがかかるような製品に関する技術である場合、必ずしも国際的に特許を取得することは価値を有さない。たとえば個々の特許について三極出願を行っているか否かで、その特許の価値を評価する際には注意が必要である。
・広告宣伝集約度の高い産業では、同一の意匠について国際的に権利を取得していても必ずしも評価できない。企業ごとに見たときには、そのような産業においては、出願された意匠間のリンクがない方がよいのかもしれない(ただし、企業ブランド構築の基礎となるようなデザインについては例外であろう)。

(注1)パンカシ=ゲマワット(著)、望月衛(訳)『コークの味は国ごとに違うべきか』(文藝春秋、2009年)(原著:Pankaji Ghemawat, Redefining Global Strategy, Harvard Business School Press, 2007.)
(注2)前掲注1・ゲマワット(2009)315頁。
(注3)後者についてはISO等で国際標準規格とし、WTO/TBT協定に基づいて国内規格に影響を与えるという手はあるが…。
posted by かんぞう at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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