2009年07月14日

[特許]ちょっと気になる事実関係

東京地判平成21年7月10日 平成20年(ワ)第12952号 判決を読んで

特許法解釈の上でも実務の上でも特段の意味のない判決であるのだが、その事実関係はおもしろかった。

■事実のきわめておおざっぱな概要
GPS通信を行うことで位置情報を特定し、周辺の特定の業務を行う者の電話番号(発信番号)を検索し通信を行う携帯通信端末について特許権を有する原告が、そのようなサービスを利用可能な携帯電話端末を製造した企業および販売した企業を相手取り、特許権侵害に基づく販売差し止めと損害賠償3,440万円を求めた事案である。
なお、原告はその主張の中で、位置情報に基づいて周辺の特定の業務を行う者の電話番号(発信番号)を検索し通信を行う構成は、第三者(NAVITIME)のサービスを通じて実現されることを主張している。

■きわめておおざっぱな判旨:請求棄却
特許請求の範囲を分析し、周辺の特定の業務を行う者の電話番号(発信番号)を検索することが、当該携帯通信端末のCPU上で行われていることが、特許請求の範囲に含まれる行為であるとした上で、NAVITIMEのサーバーを通じて電話番号を検索する被告の製品は構成要件を充足していないと判断した。

■判決へのコメント
当事者の主張は綿密に記述されているが、裁判所の判断は比較的あっさりした判決文になっている。出来る限り広範な特許請求の範囲を原告は抑えていると認識していたものと思われるが、その牙城を崩され、どうしようもなかった事例なのだろう。
なお、裁判所が要約した発明の構成要件は極めて簡潔に認定されており、このように認定されているのであれば、仮に被告製品が構成要件を充足していても進歩性が否定されていたようにも思われる。

■ビジネス面で警戒される原告かも…
この原告は、公式のウェブサイトを見る限りでは、開発専業企業(注1)で知的財産権ビジネスを主要な業務としており、「侵害は放置しない」との態度で臨んでいる。
業務の形態を見ると、パテントトロールと言われうる余地はあるし(注2)、一部の特許をオランダの知的財産権ビジネス企業を通じて取得していること、一部の特許で特許取得にあたって極めて多数の出願分割を繰り返すなどテクニカルな特許取得を行っていること、など、知的財産部門の人間であればおそらく警戒する要素が見てとれる。
このような訴訟にはついつい注目してしまう。

(注1)開発、というよりは、特許マップを細かく分析して抜け落ちている特許取得に特化した企業なのかもしれない。多くの発明が特定の個人による発明となっている。また、かつて「2画面型携帯電話」について特許取得をし、話題になったことがあるようだ。
(注2)定義が定まっていないことには留意が必要。
posted by かんぞう at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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