2009年06月26日

[商標][時事]不使用商標対策としての登録証明導入を巡る報道

先日の日経新聞の記事で、不使用商標対策に登録証明を求める方向で検討されている旨が紹介されていた。
「政府の知的財産戦略本部(本部長・麻生太郎首相)は、社名や商品名の独占的な使用を認める商標登録制度を見直す方針を固めた。」
「具体的には登録から一定期間後に実際に使われているかどうかを証明することを登録した企業に義務付ける。6月下旬にも決定する「知的財産推進計画2009」に盛り込む。」
〔日本経済新聞2009年6月22日夕刊(なお、『企業法務戦士の雑感』より再引用〕

予想していなかった方向であり、驚きをもって受け止めたものであった(注1)が、昨日決定された『知的財産推進計画2009』を見ると、どうも見当たらない。これは誤報だったようだ。
不使用商標対策を強化する
使用されていない商標権が新たな商標選択の幅を狭め、新商品・新サービスの事業展開の制約要因となっていることにかんがみ、不使用商標の削減や商標の円滑な取得のための方策について2009年度中に調査・研究を行う。
〔「知的財産推進計画2009」21頁〕
調査研究に「登録証明」の研究が含まれるかと思いきや、倒産した企業の商標により後願が排除されることがどうやら研究のテーマのようである。
あわせて、倒産して企業等が名目上の権利者となっている不使用商標により後願の商標出願が拒絶される問題について、その対応策の検討に向け、調査・研究を行う。
〔「知的財産推進計画2009」59頁〕
これなら極めて妥当であるし、よい研究を計画されていると思う。単に統計的に見るだけでなく具体的不利益の状況について、各企業の知的財産戦略もふまえて研究してほしい。

なお、「登録証明」に言及した意見が「知的財産推進計画2008」の見直しに対するパブリックコメントにはあった。
不使用登録商標を減少させるためには、(1)不使用取消審判の活性化(審判請求費用の低減、実体審理の有無に応じ審判請求費用の負担を可能とする制度の導入等)、(2)不使用商標の商標権に基づく権利行使の制限、(3)使用供述宣誓書提出の義務化(登録後5乃至6年目の段階で使用の証拠及び宣誓書の提出を権利者に義務づける制度)等の検討に取り組むべき。(日本弁理士会)
〔「「知的財産推進計画2008」の見直しに関する意見募集の結果について 結果概要」〕

さすがに弁理士会が出しているだけあって、実務の観点から詰められた意見になっている。しかし、この意見でも、登録証明は検討する選択肢の一つにすぎない(まして、登録の5年後から6年後に求めているものである)。

そうするとあの報道は一体なんだったのだろうか…(注2)。
と疑問は感じるものの、知的財産制度に関する話題を迅速に提供しているので、日経新聞には私は感謝していることを申し添えておきたい。
(注1)『企業法務戦士の雑感』のFJneo1994さんも「[企業法務][知財]「不使用商標」対策はこれでよいのか?」『企業法務戦士の雑感』2009年6月22日記事でその手段としての妥当性に疑問を示されている。私も賛同する。
(注2)一部の巻き返しを狙った方のアドバルーンなのかなぁなどと思わなくもないが可能性は低い。
posted by かんぞう at 01:45| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆商標 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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