2009年05月07日

[意匠権]意匠権の通常実施権の登録事項のうち開示範囲制限

知的財産政策部会で、意匠・商標権の通常実施権について、特許権同様、登録事項の開示範囲を限定することが検討されている。事務局側の案では「通常実施権者の氏名等」および「通常実施権の範囲」の開示範囲を限定することは、実施または使用は公にされるものであり、制限する必要性に乏しいとして措置しないこととなっている(注1)。

しかし、意匠権の通常実施権の登録事項のうち、「通常実施権者の氏名等」および「通常実施権の範囲」の開示範囲限定は必要がないのだろうか。

たとえば部分意匠は、必ずしも一見して実施が明らかではなく、しかも、差別化の重要な要素としてその実施の事実を秘匿したいというニーズがあるかもしれない。

もちろん、ブラックボックス化して見えないような部分の意匠については、そもそも侵害判断の場面で評価されない(権利侵害とならない)と考えられるため(注2)、ライセンスを受けて実施していることを秘匿する必要は特許権に比べると極めて限定的であることは間違いない。

ただし、この議論にあたってはそもそもの問題として意匠権のライセンスがきわめて稀であることには注意しなければならない。ライセンス金額ベースでみると、特許権の約1/5000である(注3)。

だが、私は上記のような部分意匠などではライセンス活動が活発になる可能性があると思っているし、知的財産活動調査が示すように、大学等からのライセンスもいくらかは活性化する可能性があるのではないかと考えている。

(注1)産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会「意匠法・商標法上の通常実施権・通常使用権等の登録制度の見直しについて」経済産業省 産業構造審議会 第12回知的財産政策部会 配布資料(2009年1月)
(注2)知財高判平成20年1月31日(平成18年(行ケ)第10388号)。茶園成樹「物品を分解しなければ見えない部位と意匠法」L&T42号(2009年)73頁は、この判断を意匠法上正当な解釈とし、取引の円滑さを損なわない点においても妥当であるとしている。
(注3)特許庁『平成20年度知的財産活動調査』(2009年)によると、特許権のライセンス支出額(国内外企業からのライセンス。グループ企業外のみ)は1500億円に迫るが、意匠権は0.3億円である。
posted by かんぞう at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆意匠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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