2009年05月06日

[時事]特許制度研究会レビュー:特許権のライセンス契約保護

特許庁が設けた、特許制度の根本を検討する研究会の第3回では、特許の活用促進について議論が行われたようだ(注1)。主には、ライセンシー保護が議論の対象であり、
・通常実施権の当然保護(または登録によらない保護)
・独占的通常実施権に関する制度の創設
が主な議題となっていることがうかがわれる。

この議題のうち前者に関しては、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会で議論され、『特許権等の活用を促進するための通常実施権等の登録制度の見直しについて』という報告書(注2)が出されている。その内容のレビューといったところなのだろうか。

このように議論がなかなか結論を見ないのは、知的財産権の譲受人が譲渡人の契約関係を承継することとなる…という今までの民法原則が破られるように思われること、それと、実施権設定権者(特許権)の破産時の未履行双務契約の処理の原則が破られるように思われること、の2点にある可能性もある。

もしそうであるならば、民法学や民事執行法学の議論の進展に期待したい(注3)。私自身は、情報という価値の利用の排他性が無い財について、民法や破産法体系が予定していたのか知りたい。

議論の中でおそらく公示性の要請を交代させる方向で議論が進むと思われるが、特許権を担保とした融資側や、特許権の譲り受けを活用したビジネスを展開している者からは懸念も示されるだろう。とくに知的財産担保融資は同報告書でも推進されるべきものとして位置づけられている。

そのためには、ライセンス契約の当然保護をとったとしても保護が否定される事例(権利濫用構成になるだろうか)の研究も望まれる。(私自身もその点は深めたい)

後者については長く議論になってきたところであるが、専用実施権の使い勝手を改めることで対処できる範囲もあるように思われる。たとえば、特定通常実施権(や通常実施権について議論されていること同様)登録事項の開示範囲の制限や、登録手数料の値下げなどが挙げられる。

(注1)特許庁「特許の活用促進について(基本的考え方)」特許庁 第3回特許制度研究会 配布資料(2009年4月)
(注2)産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会「特許権等の活用を促進するための通常実施権等の登録制度の見直しについて」経済産業省 産業構造審議会 第12回知的財産政策部会 配布資料(2009年1月)
(注3)情報発信にしめる鎌田薫教授の割合がやや高い印象を私は受けている。
posted by かんぞう at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ★時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/118744013
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。