さまざまなところで報道されているので、屋上屋を架すつもりはないが、整理がてら要点をまとめると以下のとおりである(注2)。
□特許制度改正部分
・遺伝資源を利用した発明につき、そのアクセスが違法でないことが求められる(5条2項)
・共有特許権の単独の実施、実施許諾を許容(ただし、実施許諾による利益は共有者に配分する必要)(注3)(15条)
・外国人による特許出願の際の代理人の要件から「国務院が指定」が削除、「法律によって設立された」に変更。緩和か?(20条)
・中国人による外国出願の際、国務院の指定する組織の手続きにゆだねることから、機密審査に変更。緩和か?(21条)
・世界公知に移行(23条)
・3年間不実施の場合、強制許諾が可能(49条)
・医薬品、半導体の強制許諾条件の明文化(51条、53条)
・権利侵害の刑事罰強化
□意匠制度改正部分
・世界公知に移行(24条)
・意匠出願に係る意匠と抵触する権利がないことを要求(24条)
・権利侵害の刑事罰強化
解釈論として気になるのは、「意匠出願に係る意匠と抵触する権利がないことを要求(24条)」である。これは意匠の実施を行おうとすると特許権侵害が生じる場合も含むのであろうか。
医薬品の強制許諾については、途上国への輸出目的が明示された点が目を引く。ODAとして活用するのであろうか。
いずれにしても興味深い改正と考える。
(注1)http://www.npc.gov.cn/huiyi/lfzt/zlfxzaca/node_6866.htm
(注2)原文のほかに、日本貿易振興機構北京知的財産権センターウェブサイト、IPNEWS「中国の全人代、改正特許法を可決」、IPNEXT「中国、国内出願に先立つ国際出願を許可―特許法改正」等を参照した。
(注3)我が国の特許法73条とは逆。ただし、中国でも出願や拒絶査定対応等は共同で行われなければならない。