2008年11月21日

[知財一般][つぶやき]汎用的な特許制度と分野別の特許制度を考える材料

米国の特許制度改革が進まないのは、改革を求めるIT産業と、現状維持を求める製薬産業の対立に要因の一つがあるという説がある。特許制度が産業分野によって最適化されてない(つまり、部分最適化されていない)ことの現れなのかもしれない。

実際、訴訟リスクを考えると、製薬業界以外は特許出願により得られる便益よりも特許制度があることによる費用が上回っているという研究もある(注1)。

じゃあ分野別の特許制度を設けたらいいじゃないか、なんて言う話もある。実際のところ、ある特許発明がどの分野に属するかの決定でもめてしまうだろうから(注2)、実現可能性は低い。だけれども、どういう「分野」分けが成立しうるかを念のため考えておくことはおもしろいし、何か役に立つかもしれない。

さらに言うと、特許制度を巡る産業間の利害対立で、どことどこがくっつく可能性があるかもね、というところを教えてくれるかもしれないのだ。政治学の観点からもおもしろいように思う。

■特許制度の利用状況から見た産業のクラスター
そうしたときに出てくるのが、どのような視点でクラスターを区切るのがよいか、という問題だ。

1製品あたりの特許出願数もその一つ。これは日本での研究成果がある。

R&D費に対する特許取得件数なんかもグループ分けの一つの基準となる。これはOECDがまとめていて参考になる(注3)。

さらに、1企業あたりの特許紛争リスクも基準になりうる。

いずれも一長一短はあると思う。たとえば、R&D費に対する特許取得件数は一般的な権利の強さも紛争リスクも考慮していない。それだけに直感的でないグルーピングが見えてくる。具体的には、私は製薬と化学は特許の使い方が近く、その対局にはエレクトロニクスがあるとの印象を持っていたが、R&D費に対する特許取得件数で観ると、エレクトロニクスと化学が近かったりする。

ただ、それが直感に反するからと言ってだめな基準と観てしまうのでなく、実は似通った点があるのではないかと思って観てみるとよいのではないかと思う。もしかしたら、何かが見えるかも…。

(注1)James Bessen=Michael Meurer, "Patent Failure: How Judges, Bureaucrats, and Lawyers Put Innovators at Risk" Princeton Univ Pr(2008)
(注2)The European Patent Office, "Scenarios for the Future"(2007)の中のTrees of Knowledgeシナリオで示唆されている。
(注3)OECD Science, Technology and Industry Scoreboard 2007中の"Patenting by industry"。
posted by かんぞう at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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