2008年10月22日

[特許]侵害に対して102条の推定規定を使うか、逸失利益でがんばるか

スザンヌ・スコッチマー(著)=青木玲子&安藤至大(訳)『知財創出 イノベーションとインセンティブ』(日本評論社、2008年)を読んでいたら、大変面白い分析があった。同分析は日本の方制度についてのものでなかったので、応用してみた。「そんなのわかりきったことじゃない」と笑われてしまうかもしれないけれど、覚え書きのためにまとめてみる。

■特許権者が特許権を実施している場合にどのように損害賠償を求めることが賠償額を最大化できるか
さて、特許権侵害があって、特許権者も実施している状況で、侵害者の販売する侵害物品が特許権者の特許実施品と市場で完全に代替する場合、損害賠償請求額(Pd)を最大にするためには、102条1項または2項を使うのが良いのだろうか?

Scotchmerに倣ってモデルを構築する。
特許権者が当該特許権を自由に使用している場合(つまり、Royalty FreeやRAND条件等でのオープンな利用を認めていない場合)、特許権者は利得を最大化する価格PMで特許製品をQM個製造・販売する。このとき、固定費用と変動費用を引いた図中オレンジの領域(緑の領域を含む)が特許権者の利益となる。

しかし、ひとたび侵害が生じ、侵害者がQS個販売すると、特許権者の製品の販売も影響を受け(図中では落ち込むことを想定している)QG個販売されることになる。ただし、全体の販売個数(=QS+QG)はQMを上回ることになる。それゆえ、価格(PO)はPMより下がることになる。このとき、特許権者は緑色の領域が利益となる。

□特許法102条1項で請求した場合
このとき、POにQGを乗じた利益ついて特許権者のコストを引いた額が損害賠償額となる。これは、特許権者がQS+QG場合の利益と一致する。PMは特許権者にとって利得を最大化する価格であったので、当然ながら、この場合の利益は非侵害時の特許権者の利益より少ない。

□特許法102条2項で請求した場合
侵害者のコスト次第となる。それゆえ、侵害者のコストが大きく差がない場合、非侵害時の特許権者の利益より少なくなりうる。

ここでいう非侵害時の特許権者の利益が、逸失利益である。そうすると、侵害者の製造コストいかんによっては、逸失利益の方が額が最大化されることがわかる。はずだ。私が間違ってなければ…。

chiteki081022.gif

■ただし…
ぢゃあ、どうやって逸失利益証明するんだヨという突っ込みには弱い(笑)。

(2008/11/3修正。alexさん、ご指摘ありがとうございます。)
posted by かんぞう at 01:44| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本国特許法の話であれば、102条の誤りではないかと思いますが…
Posted by alex at 2008年11月01日 11:16
alexさん、正しい指摘をありがとうございます。
お恥ずかしい話ですが、間違いでした(書くときはいつも六法を引いているのですが、なぜ無い条文番号を書いてしまったのか…)。
Posted by かんぞう at 2008年11月02日 22:19
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