2008年10月08日

[特許]パテントプールを巡る世界の法的議論(備忘)

パテントプールに関するシンポジウムを聞いてきた。わからないことが多く新鮮であった。備忘のために勉強になった点を2点まとめる。

■プールへの参加にあたってFRAND条件での利用許諾を宣言していたにもかかわらず遵守しなかった場合の取り扱い
MPEGビデオパテントプール事件では、(Fair, Reasonable and Non-Discriminated)との条件でプールに参加したシーメンス社が必須特許以外の関連特許に関する実施料も含めた要求をしたことに対し、当該行為がFairであるかが争われた。デュッセルドルフ地方裁判所は、FRANDに反する行為と判断した上で、パテントプール参加者にFRAND条件に基づく抗弁を認めたとのことである。

具体的な判決文を読む必要があるが(そして私はドイツ語なんてわからない)、パテントプール参加にあたってのFRAND条件での宣言が契約として解されているならば大きな違和感は無いが、一方的な宣言であるとすれば、どのような根拠に基づくのか気になる。おそらく、契約としては解さず信義則による処理を行ったのだろうが、ライセンス交渉が決裂したからと言ってそれまでの何らかの方針の示唆に制約を受けることには何となく違和感を覚える。

■必須性の判断
いままで意識していなかったことなのだが、必須特許が否かについての判断は国ごとに行わなければならない、という指摘があった。(実務家なら当然知っている、という話であろうから書くのはかなり恥ずかしいのだが)

特許権の範囲は付与国によって事実上異なる(その主な理由は、出願過程での権利減縮、言語の違い――時には翻訳の問題――に起因するクレーム範囲の微妙な差、であろう)ために、国ごとに見ないとダメだ、ということである。

たしかイギリスで必須性を判断した事案があったが、当たり前のように裁判所が判断した理由の一つは国ごとに見ても問題ないというところに支えられていたのかもしれない。
posted by かんぞう at 01:40| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆特許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自分の知り合いも元パチンコ業界でパテントプールに関わってました。必須特許か以前に特許1つ1つの価値の判断もほぼ成されていないとぼやいてました。プールに参加してる全ての会社の共通見解が取れないんだそうです。

なかなか難しい問題ですね
Posted by さすらいの知財マン at 2009年09月05日 11:26
ありがとうございます。なるほど、共通見解がとれない、というのも要素なのですね。勉強になります。

私の中で理解していた、特許の価値判断が行われない理由は、
・1つ1つの価値を定めることが難しいこと
・(仮に各企業内でその手法を見いだしていても)それを外部にさらしてしまうことはためらわれること
の2点でした。

現状では、価値判断ができないから特許件数でカウントしているようですが、必須特許とわかったとたんに分割を繰り返す参加者も居るとか…。おっしゃるとおり、難しい問題です。
Posted by かんぞう at 2009年09月11日 21:56
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