2008年09月18日

[著作権]米国著作権法における民事訴訟コストの外部化法案?

米国議会で、Enforcement of Intellectual Property Rights Act of 2008の法案(S.3325)がこの7月に上程された(注1)。審議が進んでいるかどうかはわからないが、この法案には面白い点が含まれている。それは、司法省長官への民事訴訟権限の付与、である。どういったものか気になったので、法案段階ではあるが、該当部分について翻訳を行ってみた。法案の内容を把握することが目的であるので、文言に忠実な訳ではない点に注意いただきたい。

法案101条は、以下の条文を米国著作権法(合衆国法典第17編)506条(刑事罰規定)の下に506a条として追加することを求めている。
506a条(506条違反に対する民事制裁)
(a)総論
司法長官は、506条に定める刑事制裁行為に代えて、506条に違反する行為を行った者を相手取り、適切な連邦地方裁判所に対し、民事訴訟を提起することが出来る。証拠の優越によりそのような行為が立証された場合、その者は504条に定める民事制裁を受ける。この場合の制裁の額は、合衆国法典第18編3663条(a)(1)(B)に定める損害賠償の額および当該行為により被害を受けた著作権者に対する損害賠償の額の合計に等しくてもよい。
(b)他の救済手段
(1)総論
本条による制裁が科された場合であっても、連邦政府や他の者が行いうる、他の刑事処罰、もしくは、法令上の救済、差止的救済、コモンロー上の救済、または、行政上の救済を妨げない。
(2)相殺
本条に従い提起された民事訴訟の結果、著作権者が得た損害賠償は、当該著作権者が同一の行為に基づき提起する(注2)著作権侵害訴訟における損害賠償と相殺されるものとする。

506a条(a)を読む限り、刑事罰としての提起と思いきや、(b)(2)では著作権者が506a条による訴訟での損害賠償を得ることが前提となっている。
私の理解が正しいとすると、民事訴訟でありながら、訴訟費用が外部化されるということになる。なかなか斬新だが、果たしていかに。もっとも、対象は米国で刑事罰とされている行為のみであり、これは日本に比べると構成要件が限られていることには留意が必要だろう。

(注1)JETRO「上院に包括的模倣品対策強化法案(上院版PRO-IP法案)が上程される」JETRO NY ニューズレター(2008年7月25日参照)。なお、私はIP NEXTの記事「米、著作権侵害取り締まり強化のための法案を審議」で本件を把握した。
(注2)正確には、「本条に従い提起された民事訴訟で対象となった行為に関する訴訟」であるが意味がとりにくいため意訳した。
posted by かんぞう at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆著作権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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