2008年07月31日

[不正競争]営業秘密の秘密性要件の大阪地裁/大阪高裁の判決傾向を否定できないものか

営業秘密の保護の要件のうち、秘密性要件の解釈が厳格になされる判決が大阪地裁、大阪高裁で続いていることが指摘されている(注1)。

このような傾向は、事業者サイドには効率の悪い情報管理を求める結果になり、ことに中小の事業者には負担となる(注2)。とくに、中小・零細の企業間で、一種のフランチャイズ契約を結んだ場合のフランチャイザーには悩みのタネとなるだろう。

なぜ厳格に解することが適切なのか、一連の判決文の一般論からは読み取ることが出来ないように思う。もっとも、そうであるならば、判決の射程を限定的に解する余地もあるのであり、その視点から裁判例分析をすれば良いのかもしれない。

だが、反対に厳格に解釈しないことを理論的に正当化しきることもなかなかに難しいのではないか。

津幡笑講師は営業秘密の保護の根拠を成果開発のインセンティブ保護に求め、そこから、秘密情報の明示化が要請されるとした上で、「情報の利用者にとって秘密であることがわかること」を求めている(注3)。

しかし、成果開発のインセンティブ保護からだけでは、そもそも秘密性要件は不要なのであり、決定的な規範を導くことは難しいのではないか。秘密性要件は成果情報に触れうる者の情報利用の自由との調整原理と捉えるべきなのではないだろうか。

もっとも、仮に調整原理と理解しても、これまた決定的な結論は出ない。行為の悪性をもって基準とするか、あるいは、立法意思を根拠にせざるを得ないのかもしれない…。

(注1)ブログ周りでは、FJneo1994さんが以前から指摘されていた。
(注2)同旨、津幡笑「営業秘密における秘密管理性要件」知的財産法政策学研究14号(2007年)212頁。
(注3)なお、田村善之『不正競争法概説 第2版』(有斐閣、2003年)329頁も同様の結論をとられるが、これは行為の悪性を根拠にされているように読める。
posted by かんぞう at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆不正競争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。