2008年07月09日

[時事]環境技術と知的財産政策

洞爺湖サミットが開かれているので、たまには環境の話題を(注1)。

二酸化炭素排出権の枠組み次第では、産業界は環境対応技術の開発がより積極的に求められることになり得る。そうすると環境関連の特許の流通もより求められてくるだろう。

そんな中、IPNEXTのニュース(2008年7月8日付)で、
ニューヨークを本拠とするLynxstreet.comが地球に優しい環境関連の知的財産を対象とする新しいオークションサイトを立ち上げた。
http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=3904
との報道があった。

知的財産のオークションサイトはOceanTomo(http://www.oceantomo.com/)が有名であるし、うまくいっていると聞く。
同様のサービスの算入で、どれほど成長するかは未知数であるが、分野を絞ることで関係者の興味を引きやすい、ということはあるのかもしれない。

他方、環境関連の知的財産に関してはCSRの観点から流通を促進する取り組みも見られる。IBMが中心となったEco-Patent Commons(http://www.wbcsd.org/web/epc/)が代表的な例である。

さて、これらの取組はいずれも「望ましい」で片付けられるのだろうか。環境技術に対しては3つの立場があり得るように思う。それぞれの立場からみたとき、

一つ目は、環境ビジネスを促進し、環境関連技術開発のもっとも古典的なインセンティブを増大させるという立場である。この立場からは、私的な流通環境が整うことは望ましい。なお、この立場を貫くとEco-Patent Commonsのような取り組みは、市場を損ねる行為として望ましくないと評価されるように思う。

二つ目は、国として環境関連技術開発を促し、国の中で利用を促すことで、自国の競争力を削がないことを目指す立場である。これは排出権取引枠が国ごとに設定されたときには、起こりうるものであると思う。この立場に拠ると、国として環境技術へ投資することが望ましく、場合によっては環境技術に対する強制許諾制度を定めるかもしれない。この立場(および三つ目の立場)からは、一つ目の立場で望ましかった私的な流通環境が整ったとしても、各特許の保有者がその利用の範囲を決めることができるため、特許の保護期間内は技術の利用の裾野が拡大しない可能性があることが望ましくないと評価されよう。

三つ目に、地球環境を全体のことを考えた技術開発・利用を促す、という立場もあり得る。これに適合する取り組みはEco-Patent Commonsであろう。これは地球環境維持という観点からは望ましいが、技術開発のインセンティブはなかなか確保されないところは難しいかもしれない(だからEco-Patent CommonsではCSRが主な動機になっているのだろう)。この立場からは二つ目の考え方は、国の中に閉じてしまうことは望ましくないと評価されよう。

環境保護をうたうときに、知的財産分野においてどのような政策をとっていくのか興味深い。「知的財産推進計画2008」では、環境技術に関してはコモンズの推進を図っていくことが窺える。三つめの立場なのだろうか。

(注1)そもそも温暖化が進行しているのか、その要因は本当にCO2なのか(温暖化した結果ではないのか)、等の疑問も呈されているところであるが、私にはその知見が無いので、ここではその点には踏み込まない。
posted by かんぞう at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ★時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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