2008年07月08日

[その他]「無敵の人」―少年犯罪と高齢者犯罪ー

高齢者犯罪を統計によって分析した太田達也「高齢者犯罪の実態と対策――処遇と予防の観点から」ジュリスト1359号(2008年)116頁以下は少なからず衝撃であった。

同論文で興味深い点は、
○刑法犯検挙人員に占める高齢者(65歳以上の者)の割合は、平成18年までの10
年間で4.1%から12.1%に増加 (116頁)
○初犯、再犯とも増加 (116頁)
○要因は「社会的孤立化」にある可能性(121頁)
とのことであった。

近年(本当はいつの時代もなのかもしれないが)、「物騒なってきた」という。
長期的に見ると、人口千人当たりの犯罪認知件数としては、1970年代の水準よりも低い。
では何が「物騒」感をもたらしているのか?
単に「物騒」という人の物忘れがひどいだけなのか?
あるいは「キレる若者」が原因のなのか?
はたまた、実は高齢者の犯罪がその要因なのか?

まず、刑法犯検挙人員数を被疑者の年齢別に整理してみた。
chiteki080707_01.png
(出所:警察庁「平成18年の犯罪」より筆者作成)
これによると、近年の検挙人員の増加には高齢者が大きく寄与していることがわかる。もっとも、高齢化も進んでいることを併せ考えると、人口千人当たりの検挙人員で見ることが適切である。そこで、人口千人当たりの刑法犯検挙人員数を被疑者の年齢別に整理してみた。なお、統計上の制約により2000年と2005年の2点のみになっている他、少年の人口千人当たりの刑法犯検挙人員数については分子である少年の検挙人員には14歳が含まれているが、分母である人口に14歳人口が含まれていないため、見た目には大きく数字が表れていることに留意されたい。
chiteki080707_02.png
(出所:警察庁「平成18年の犯罪」、総務省「国勢調査」より筆者作成)

これを見ると、20歳台、60歳以上の伸びがわずかではあるが目立つ。そして、少年は圧倒的に件数が多い。

これらを見ると、「失うものが無い」「社会的に結びつきが弱い」人が存在しやすい年代において犯罪に手を染める可能性が上昇していることが窺える。もちろん、慎重な検証がいるが、このような「無敵の人」が犯罪に走りやすいことが、「物騒」感の要因なのかもしれない。
posted by かんぞう at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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