2008年07月01日

[知財一般]研究開発力強化法にみる知財制度改革の方向性

2007年に総合科学技術会議で議論がなされていた、いわゆる研究開発力強化法(注1)が、先月成立した。同法は第3期科学技術基本計画の具体化法としての役割を担うものと考えられ、国、国立大学法人、研究開発型独立行政法人それぞれが研究開発力を強化するために担うべき役割を定めている。主には、優れた研究者の活用や、資源配分の競争的資金へのシフトなどに努めることを規定している。

この中に、知的財産制度に関する目標規定も含まれている。それがなかなか面白い。面白いところに踏み込んでいるのである。
正直に言えば、疑問なしとしない踏み込み方なのである。

■研究開発力強化法にみる知的財産制度に関する目標規定
□特許制度の国際的調和(40条1項)

同法では「研究開発の成果の適切な保護を図るために極めて重要」な課題として特許制度の国際的調和を挙げている。国際的な特許権取得を促すのではなく、制度調和にまで踏み込んでいるのである。知的財産推進計画と異なり、法で定めているのであるから重みが違う。
ただ、こればかりは相手のあることであるし、わざわざ法で定めてどれほど効果があるのか…とも思う。あるいは、米国の制度調和を促すために、多少の妥協をするよ、というのを法で担保したのだろうか。

□知的財産権侵害事犯の取り締まり等知的財産権の安定的保護の環境整備(40条2項)
同法では、「研究成果にかかる知的財産権を行使しして正当な利益を確保することが、その研究開発能力強化に重要」として上記の目標を定めている。
同法は、民間の事業者も含めた研究開発力強化についての法律であるので、民間の研究開発力強化のための規定とみればあまり不思議は無いのかもしれないが、あえて刑事での取り締まりを明示している点は面白い(正直に言えば、違和感を覚えた)。
同法が主に意識しているのは特許法だと思うのだが、特許侵害事案か否かの判断はなかなか難しい。司法警察/検察の機能を強化するならば対処は可能かもしれないが、相当な自由刑と法人罰を伴う刑事罰は産業界を萎縮させるようにも思う(注2)。
あるいはこの規定は、海外への働きかけを行うことを定めた規定なのかもしれない。

(注1)正式には「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」。長いっ。
(注2)なお、台湾では司法警察の疲弊と産業界への弊害を理由に刑事罰を廃止している。
posted by かんぞう at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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