2011年01月15日

[時事]同じ不正アクセスでも大きな違い

平成21年に改正された不正競争防止法(平成22年7月1日施行)で営業秘密の不正領得行為が刑事罰の対象となってから、初めて同罪の嫌疑で逮捕された事例が登場した。

以下の時事通信の記事は大変良くまとまっている。加害目的の存在、管理侵害行為の存在、営業秘密としての価値および物理的管理の示唆など、不正競争防止法21条1項1号に当てはまっていることが短い中で記されている。警察側が積極的に流したい情報であったのか、時事通信に詳しい記者がいたのか気になるところである。
「サーバー侵入、営業秘密取得=不正競争防止法改正で初適用−会社社長逮捕・警視庁

中古パチンコ台販売会社などが加盟する〔組合の〕(中略)サーバーに侵入し、理事長が経営する会社の内部情報を取得したとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターと上野署は…(中略)…不正競争防止法違反(営業秘密取得)容疑などで…(中略)…逮捕した。
…(中略)…「組合の顧問を首になり、理事長に恨みがあった」と供述。取得した情報を印字し、数回にわたり、複数の組合員に郵送したとみられる。
…(中略)…不正に手に入れたID、パスワードで組合のサーバーに侵入。理事長が経営する中古パチンコ台販売会社に損害を与える目的で、販売先や数量などの流通情報をダウンロードした疑い。」
(時事通信 1月14日(金)10時25分配信)

さて、報道を見る限り、今回嫌疑となった行為は不正アクセス行為を伴っているため、不正アクセス防止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)でも刑事罰を受けうるものであるが、その罰則の上限の違いが極端に大きい。実際の運用がどのようになるかもまた、気になるところである。

 不正アクセス防止法 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
 不正競争防止法   10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(併科あり)
posted by かんぞう at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ★時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[つぶやき]ライバルを減らして、しかも、お客になってもらおう

私はアウトサイダーの人間であるので、勝手なことを言っている、という点はご承知置き頂きたい。居酒屋談義としてお読み頂きたい。

ここ数年、弁護士業界でも弁理士業界でも、「数が多すぎて『過当競争』になっている」という声や、質の低い資格保有者が目につくようになってきている」という声が聞こえる。

この中で、「数が多すぎて『過当競争』になっている」から「合格者をしぼるべきだ」との主張もあるが、これは不思議だ。次の二点の疑問がわく。
・これから合格者を絞ったとしても現在「過当競争」があるならば現状の改善にはならない。
・近年の合格者の「質が低い」ならば、競争において淘汰されるのは近年の合格者であり、既存の資格保有者にはダメージを与えない(雇用側の弁護士・弁理士にはダメージかもしれないが、法人格をとらず、個人事業主の集合体として運営すればダメージは少ないだろう)。

成り立つのは、「数が多すぎると『過当競争』になる恐れがある」から「合格者を絞るべきだ」という主張だろう。しかし、そうであるならば、どのような状態が「過当競争」であるかきちんとエビデンスを示すべきだ。

もちろん、「質の低い資格保有者が」増えており、「しかも通常資格取得だけでは不足で実務経験も欠かせないところ、近年、実務経験の機会が十分でなくなっている」ので「合格者を絞るべきだ」という主張は通ると思うが、既に発生している『過当競争』には対応出来ない。

そうだとすると、弁護士業界にせよ弁理士業界にせよ、取り組むべきは2つだ。「市場の拡大」と「ライバルの排除」だ。このとき、いずれの業界にも、「既存の資格保有者でベテランの人を卒業させて他業界で活躍させ、あわよくば、新たな市場獲得に貢献していたく」という取組を勧めたい。

弁護士はアメリカを筆頭に政治家として活躍する者が多い。日本でも官房長官や野党の党首などが弁護士資格を有している。政治家として立法活動が盛んになると、それに対応するための業務が求められるようになり、必然的に弁護士業界は(一時的に)潤う。

弁理士でも政治家となる者(首相)はいるが、市場を増やす観点では企業家としての活動が業界としては望ましいだろう。弁理士が事業創出をした例としては、XeroxのChester Carlsonが挙げられる。Carlsonは特許事務所での勤務の中で特許明細書の複写をしたいという思いを持ち、乾式複写技術を15年かけて開発し、その後、Haloid Photographic社(現Xerox)により商業化されている。しかもXerox社は多数の特許出願を行っている。おそらく、多くの特許代理人が潤ったことだろう。
posted by かんぞう at 14:37| Comment(2) | TrackBack(0) | ●つぶやき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。