2010年05月23日

[知財一般]オープンイノベーションで取り込むべき相手としてのリードユーザー

オープンイノベーションの言葉はやや使い古されてきた感があるが、単にbuzzwordで終わらせるのでなく、垂直統合型の製品/サービス開発に固執してしまいがちな組織には、よい頭の刺激を与える言葉であると思う。

さて、オープンの相手は誰か?ということについて、シーズを持つ者だけではないということを示唆する資料があったのでまとめておく。

LIlien、von Hippel教授らが、3M社の協力の下、同社のアイデア創造プロジェクトから生まれた製品コンセプトについて事例調査を実施した結果では、リードユーザーのアイデアによる製品コンセプトの方がより新規性があり、高い売り上げに結びつくと予想されており、追加的な製品改良に留まらない、新しい製品ラインを構成するものと理解されていることが示されている(注1)。

具体的には、3M社はリードユーザーのアイデアを取り込むプロジェクトと、そうでない従来型のアイデア創造プロジェクトがある中で、両者の成果の製品コンセプトを比べると、5年後の売り上げ高予測は8倍以上の差があるものとなり、そのすべての製品コンセプトが新しい製品ラインを構成するものとなると評価されていたとのことである。

von Hippel教授が指摘するリードユーザー・イノベーションの事例は、ソフトウエアや、スポーツなどの娯楽用品に関するものが多く、その射程についてはさらに検討が必要であると思うが、von Hippel教授が理論的に整理しているところに従えば、ユーザー側が自身の持つニッチなニーズに根付いたイノベーションを推進する可能性はどの産業分野にも当てはまるように思われる。

(注1)リック=フォン=ヒッペル(著)・サイコムインターナショナル(訳)『民主化するイノベーションの時代 メーカー主導からの脱皮』(ファーストプレス、2006年)181頁(Eric von Hippel, Democratizing Innovation (Cambridge: The MIT Press, 2005))
posted by かんぞう at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。