2010年01月09日

[知財一般]Qualcomm事件(日本国公正取引委員会決定不服審判)の注目点

Qualcomm社の3G標準規格に関する特許のライセンス契約において、クアルコムおよびそのライセンシーに対する知的財産権の不行使を定めた条項(非係争条項)が含まれており、この拘束条件を契約したとして、不公正な取引方法に該当すると公正取引委員会から判断された事案に関する不服審判を開始することが、2010年1月8日、報道された。

Qualcomm社の日本の訴訟代理人によると、
「拘束条件を強制した事実はない。非係争条項は競争の阻害要因ではないという点を審判で強調したい」(注1)
との主張をしたい旨報道されている。おそらく、非係争条項の競争に対する影響について反論を試みるものと推測される。

この論点は、(報道が理解を誤っていないのであれば)Qualcomm社の主張の主要な点の一つとなるものと思われるが、公正取引委員会側はその点を主に考えておらず、非係争条項の受け入れを余儀なくされた、という主観的態様をやや重視しているきらいがある、と指摘するものもある(注2)。

実質的な競争阻害性がどの程度考慮されるか、あるいは、公正取引委員会の考え方と十分にかみ合うのか、が大変興味深い。

(注1)日本経済新聞(2010年1月4日朝刊19面)「3G携帯での拘束条件付き特許契約、公取委、クアルコムに排除命令(法務インサイド)」
(注2)鈴木孝之「判例評釈」ジュリスト1391号117頁(2009年)。なお、鈴木教授はマイクロソフト事件において、審決が行為の「量的または質的な影響」の判断を求めていたにもかかわらず、同審決において非係争条項の受け入れを余儀なくされることは研究開発の意欲を妨げると述べたことに影響されすぎたために、Qualcomm事件の審決においても主観的態様が強調され、行為の「量的または質的な影響」を考慮すべきと述べたマイクロソフト事件の審決の趣旨を生かし切れていないと批判する。
posted by かんぞう at 18:23| Comment(2) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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