2009年12月08日

[このブログについて]その4:コメント欄に認証機能をつけました

本ブログをご覧になっていただいている方にご連絡を。
コメント欄にスパムが多くなってしまったため、認証を導入しました。
お手数をおかけしますが、どうぞご容赦ください。

認証キーはIPRです。半角大文字3文字で入力ください。
posted by かんぞう at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ★このブログについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月06日

[知財一般]知的財産部門の評価

組織評価にあたって、さまざまな定量指標が用いられているが、それが組織の価値創造と結びつかず、個々の部門の最適化にしかつながらないような指標となっていたらダメだ。

例えば、適切でない指標設定としてはこんなことが挙げられるだろうか。
・××材料分野で短期的に売り上げを伸ばすため、これまで△△材料が用いられていた○○製品分野への営業を強化することとし、○○製品分野での××材料の売上額を指標とした。だが、△△材料分野において、当社子会社は○○製品分野での供給の50%以上のシェアを有していた。→上手にやらないと単に競合してしまう。他社のシェアを奪ったことを主たる指標を設定するべき。
・事業部門の経費計上処理の遅延が適時開示の上で障害になっており、同時に、これに伴って開示期前の会計部門の過負荷が問題となっていたため、適時の経費計上処理率を事業部門の指標とするとともに、総労働時間を会計部門の指標とした。→なぜ事業部門の経費計上処理が遅れているか検討しないままに実施すると危険。例えば現場が忙しすぎる、現場と会計部門のコミュニケーションが不足している、などの可能性がある。単に会計部門を守ると、現場が不正な経費処理を行うことにつながりかねない。

知的財産部門においても同様で、組織全体の価値創造を支えるものでなくてはならない。これはあたりまえのことではあり、今更言われなくてもという思いも直観的にはもつが、間接部門一般についつい自己目的化した事項を指標としがちであることを警鐘する意見がある(注1)。

では、どのような指標を立てるのがよいのか。

評価指標のあり方を検討した論稿に拠ると、事業部門の中でも戦略がそれぞれ異なっているのであるから、それに併せた指標とするべきであるとしている。そして、以下のような行為を戒めている。

複数の事業部を包括して業績評価するような指標は設定するべきでない
(知的財産マネジメント第1委員会第2小委員会「知財マネジメントの重要業績指標(KPI)―知財目標・知財戦略とKPIに関する考察ー」知財管理59巻8号(2009年)999頁)

また、同論稿に拠ると指標設定の視点としては、知的財産部門に行ったアンケート調査結果に拠る業務分類が有効であると述べられている。

具体的な評価指標のメニュー(これは自社の各事業部門の戦略に応じて取捨選択されるものである)として、提案促進活動の活性度や、提案特許評価度、研究開発費対出願率、国内登録成長率、米国登録率成長率、警告発受比率、無効資料発見率、ライセンス阻止率(自社がライセンスを受ける必要の阻止率)、特許集中度などが一例として示されている(注3)。

同論稿に挙げられている指標を見ると、特許明細書作成の技術的な要素(いかに強い特許を作るか)という点について多く指標が挙げられている訳ではない点は、昔ながらの職人的特許屋さんにとっては寂しいところがあるかもしれない。

とはいえ、知的財産部門がいかに全社の価値創造の中で重要かというのを、意識させてくれるものとなっている。

(注1)「特集 バランス・スコアカードの実学」ハーバードビジネスレビュー2003年8月号(ダイヤモンド社)
(注2)スティーブ・マントン(著)=屋代菜海(訳)=佐々木一(訳)『統合化された知的資産マネジメント―組織の知的資産を活用、保護するためのガイドブック』(発明協会、2007年)27頁
(注3)知的財産マネジメント第1委員会第2小委員会「知財マネジメントの重要業績指標(KPI)―知財目標・知財戦略とKPIに関する考察ー」知財管理59巻8号(2009年)1002頁
posted by かんぞう at 12:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月03日

[知財一般]日本の革新力―外と内の目の格差―

忙しい、という思いに負けてしまって、すっかり勉強ができていなかった。
リハビリがてらぼちぼちと覚え書きを残していく。

日本はイノベーション力に弱い、と言われている。
言われている、というか、そういう前提で霞ヶ関の虎ノ門に近いあたりのビルにいる人たちも、本でもだいたいそういうトーンで書かれている(注1)。
確かに、世界的に目を引くようなものを、必ずしも生み出せていなくて、アメリカの発想に乗っかって稼ぎを得ているだけで、将来性がないんじゃないか、なんて思いもしないでもない(言い換えると、日本は「モノ」づくりには強いが、「こと」づくりには弱い、ように思える、ということである)。
実際、研究開発効率も落ちている(注2)。

だけど、アメリカから見るとそうではないらしい。Newsweek誌とPenn, Schoen & Berland Associatesが行った米国の成人に対するアンケート調査では、技術革新力の高い国として、米国以上に日本を挙げている(米国が技術革新力の高い国と挙げた回答者が73%であるのに対し、日本を技術革新力の高い国と挙げた回答者は81%。なお、中国は50%、ドイツは42%にすぎない)(注3)。

もちろん、これはある種の人気投票ではあるから実情を反映している訳でもない。また、回答者の中でのイノベーションの定義がどのようであったのか定かでない。いわゆるprocess innovationを含むのであれば、日本は革新的な国だろう。日本は、process innovationがお家芸と言われている。

とはいえ、アンケート結果には少し自信を持っても良いのかもしれない。日本が革新的でないとの漠然とした思いをもつ背景には、基礎研究ただ乗り論の名残がまだあるのかもしれない。あるいは、単に高齢化に伴って精神的な活気が低下しているのかもしれない。きちんと見極めた方が良い。TIME誌が先日取り上げた「アメリカが中国に学ぶべきこと」で挙げられていた一つが、"Be Ambitious"だった。
(注1)岸宣仁『知財の利回り』(東洋経済新報社、2009年)はこれに関する日本国内での問題意識も大変わかりやすく整理している(主眼は違ったところにあるが)。
(注2)『ものづくり白書2006』
(注3)ダニエル・マギン「アメリカが失ったイノベーションの力」Newsweek日本語版2009年12月9日号42頁。
posted by かんぞう at 02:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。