2009年08月17日

[知財一般]北川善太郎「集積回路に関する知的財産条約」読書メモ

北川善太郎「集積回路に関する知的財産条約」法学論叢128巻4・5・6号(1991年)1頁-39頁読書メモ

WIPOが事務局が務める集積回路に関する知的財産条約は日米が反対に回ったために未発効となっているが、TRIPs協定35条に基づきその一部の遵守が求められていることから、同条約は無視できるものではない。

その条約の策定交渉に携わった北川名誉教授が、論点と日本の対応を詳細にまとめている。学術的に興味深い点を以下にまとめる。

■デザイン保護を行う条約と、製品保護を行う国内法
集積回路に関する知的財産条約と半導体集積回路の回路配置に関する法律(以下、国内法という)の決定的な違いは、前者がデザイン保護を行う(=製品となっているかは問題とならない)のに対し、条約に先駆けて策定した日本法は製品保護を行う点にある。
当時、半導体生産能力は圧倒的に日米に偏っていたために、欧州からデザイン保護制度としての主張がなされたと考えられるようだ(注1)。このまま条約を批准した場合に国内法の不備が生じてしまうため、国内法23条(間接侵害規定)が実質的にデザイン保護規定となっていると説明した経緯が存在している(注2)。
最終的に批准したものではないが、国内法23条の解釈に当たって参考になる。

■批准しなかった理由は内容に問題があるからではない
日本は最終的に批准しなかったが、その理由は、保護期間の短さ、侵害物品を組み込んだ製品に権利が及ぶか不明であること、善意取得者が悪意に転換したとき(=警告を受けたとき)の補償義務がないこと、などがあるようだが、条約の内容よりは米国との協調が批准しなかった理由にあるようだ(注3)。

(注1)北川善太郎「集積回路に関する知的財産条約」法学論叢128巻4・5・6号(1991年)11頁
(注2)北川・前掲注1 18頁
(注3)北川・前掲注1 32頁
posted by かんぞう at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆知財一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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