2009年08月15日

[時事][特許]XML標準へのアウトサイダーからの特許権行使事例?

2009年8月12日、米国テキサス州東部地区連邦地方裁判所は、Microsoft社のMicrosoft Wordがi4i社(カナダ)のXML関連特許を侵害するとして、約2億9000万ドルの損害賠償、および、カスタムXMLを含む「.XML」「.DOCX」「.DOCM」などのXMLファイルを開くことができるMicrosoft Word関連製品の販売等の差し止めを命じた(注1)。

Microsoft社の製品の販売差し止めが命じられた、ということに特に注目が集まっているようだが、W3Cの標準規格であるXML規格に関連した特許権行使であることも気になる。

侵害が問題となった特許は、米国特許登録第5,787,449号(注2)である。素人目ながらクレームをざっと見ると、XML規格自体に関わるような広い特許であるように読める(注3)。

なお、XML規格の特許声明書の提出状況をみると、i4i社からの提出は見られない。

仮にそうであるとすると、XML標準規格へのアウトサイダーからの特許権行使事例として位置づけられるのではないか。標準規格に対する特許権の行使はこれまでも問題となってきたが、新たな事例がつけ加わることになる(注4)。

他方で、XML規格自体には関係ない可能性もうかがえる。

CNETニュースによると
「わたしたちは、Microsoftの事業を停止させることを求めているわけではないし、世界中のすべてのWordユーザーに干渉することも求めてはいない」とOwen氏は米国時間8月12日、電話インタビューの中で述べた。今週の判決は、i4iのカスタムXML技術を使用する形態でWordを出荷することのみを禁じる差し止め命令である、とOwen氏は付け加えた。
(出典:CNET Japan「「Word」を市場からなくすことが目標ではない--i4i会長、電話取材に応じる」(2009年8月14日翻訳記事)

とある。

そうであるならば、Microsoft Wordが独自に採用したCustom XMLのみが問題となったのかもしれない(しかし、XMLファイルを開くことができるMicrosoft Wordを差し止め対象としていることとは整合性がない)。私は関連の技術が全く分かっていないために判断できない。今後の詳細な解説を待ちたい。

余談ながら、注にも記したように、本件の特許権はそもそも有効なのか?というところの疑問は少なくない。しかし、原告(特許権者)勝訴の判決が下されたのは、陪審が既に特許権侵害を認定していたからであろう。

(注1)概略はITmedia News「Microsoft、米地裁から「Microsoft Word」販売差し止め命令」(2009年08月13日08時56分記事)に詳しい。
(注2)明細書はこちら
(注3)もっとも、そうであるがために、新規性を欠いているのではないか、との指摘がWeb上には存在する。
(注4)ただし、今回の当事者であるi4i社はいわゆるパテントトロールとはほど遠く、これまでもXMLに関連した製品開発を行っている。そのような背景がある中で、おそらく、無茶な特許権はしないであろうことが推測できる。
posted by かんぞう at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ★時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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