形式的には純粋な特許権の行使であるが、競争法上の違法性が認められている点で、興味深い事例である。
Rambusに対しては、米国FTCが処分を下している。米国では「自己の特許権が技術標準に含まれる過程に参加していた」かつ「意図的に情報開示をしなかった」上で行った点などが、競争法上の違法性の根拠とされていた。
おそらく、欧州でも同様の判断が下されるだろうが、仮に根拠に違いがあれば、おもしろくなる。
しかし、悲しいかな、世間で認められれば立法されて合法になるが、それまでは犯罪者というのが、日本の著作権法の一般的な解釈である。
(注7)例えば、ネットオークション上での美術の著作物出典に当たってのサマリー画像掲示について引用の解釈論での対処を志向するものとして、たとえば、田村善之「絵画のオークション・サイトへの画像の掲載と著作権法」知財管理56巻9号(2006年)1307頁以下。
(注8)限定列挙の不都合については立法サイドの方も認識されている。加戸守行『著作権法逐条講義 四訂新版』(著作権情報センター、2003年)224頁。※版が古いですが…
(注9)もっとも、参政権がそのようなものであるかはなお憲法学上の議論があるだろう。ここでは、松井茂記『日本国憲法 第2版』(有斐閣、2002年)で示されているような、表現の自由と参政権を結びつけた理解(つまり、政治参加のためには政治に関する情報の取得と伝達が必須であり、これは憲法上保障されている、との理解)に、敢えて基づいて捉えている。
(注10)口の悪い人ならば、「知財法に多種多様な権利との調整が既に織り込まれていることを失念した思い込み」によって、この記事を太田さんが書いたと批判されると思う。
(注11)そもそもそんなことを言い出したらマス・メディアが伝えるものも恣意的な編集はされているし…。問題は、情報を受領する国民がきちんと判断できれば良いのである。判断できない、との思い込みの下に、過剰なパターナリスティックな介入が行われることは望ましくないように思う。
日本の著作権法[引用者注:の権利制限規定]は限定列挙であるという一部の知財法専門家の常識は、知財法に定められた以外の多種多様な権利の存在を失念した思い込みに過ぎない。
権利と権利が対立する場合にはという限定を附されているので、米国著作権法107条の意味でのフェアユースとは違う、何らかの前提をもったフェアユースを言っているように読める。
(平成19年7月まで)
国若しくは地方公共団体の機関…(略)…において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送を行うことができる。
(平成19年7月以降)
国若しくは地方公共団体の機関…(略)…において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
※強調部は平成18年改正(平成一八年一二月二二日法律第一二一号、平成19年7月1日施行)
(注1)細かい点は憲法学の世界にお任せしたい。ただ、どこかで長谷部泰男先生がそう仰ってた気がするので、ここではあっさり財産権として扱った。
(注2)もっとも立法の経緯は管見の限り明らかでない。詳細な研究を行っている方はいらっしゃらないだろうか?
(注3)この点は、異論があるかもしれない。こんな場面では問題がある!とお気づきの方はお教えいただきたい。
(注4)衆議院TVのスタートが数年前であることから平成19年7月以前の規定の議論を持ち出されているのかもしれないが、改正法に触れていない点で、太田さんの議論にはちょっと首を傾げてしまう。
(注5)詳しくは文化庁『著作権分科会(IPマルチキャスト放送及び罰則・取締り関係)報告書』参照。
(注1)最判平成14年4月25日民集56巻4号808頁。
(注2)たとえば、白石忠志『独占禁止法』(有斐閣、2006年)334頁。
(注3)石岡論文126頁の記述から読める、というだけであるので、正確なところは不明である。
(注4)金井貴嗣ほか編著『独占禁止法 第2版』(弘文堂、2006年)〔稗貫俊文執筆部分〕337頁注3。
(注5)精読をしていないので挙げるのは恐縮なのだが、田村善之「競争政策と民法」NBL863号(2007年)はそのような理解をされているように思われる。
(注6)もっとも抽象的な「秩序」を議論することが、知的財産法の権利範囲内用の確定にあたって決定的なものとなるようには思われない。むしろ、事後観察の際に、概括的な評価としてどのような秩序に位置づけられるかの議論になるのに留まるのではないだろうか。
(注7)未だ議論のあるところである。世界的な議論の俯瞰は、斉藤博『著作権法 第2版』(有斐閣、2004年)172頁〜178頁参照。
(注8)この点については別途検討したい。
(注1)KSR International Co. v. Teleflex Inc. et al., U.S., No.04-1350 (2007)
(注2)著作権の間接侵害や検索エンジンのキャッシュ問題などを研究されている、注目すべき若手研究者のお一人である。
(注1)地方裁判所別に想定される裁判員候補者数とその選挙人名簿登録者数に占める割合の試算表(平成18年)≪最高裁判所へのリンク≫
(注2)罪名別に見た対象事件数(平成17年度)≪最高裁判所へのリンク≫
新型インフルエンザのワクチン開発をめぐり、インドネシアなど途上国側が提供したウイルスに「知的財産権」を認めてほしいと主張、ワクチンを研究・開発している先進国側に困惑が広がっている。7月31日からシンガポールで始まった“医薬品の南北問題”を討議する世界保健機関(WHO)の専門家会議の行方次第では、インドネシアがWHOへのウイルスの検体提供を再び拒む事態が懸念されている。
鳥インフルエンザの人への感染が最多のインドネシアは今年2月、「検体を提供しながら開発されたワクチンを高く購入させられるのは不公平」と、提供を中止。5月のWHO総会でワクチンを公平に供給する体制を構築することを確認したことから、提供を一時再開したが、その後、ストップしている。
(注1)ただし、憲法でそのような規定があるアメリカでは別の議論となる。
(注2)田村善之「伝統的知識と遺伝資源の保護の根拠と知的財産法制度」知的財産法政策学研究13号(2006年)59頁。
著作権法 中山信弘 著
有斐閣 9月下旬発売予定
本体価格4500円 A5判480頁
(注1)もっとも、仮にそうだとしても適切なリードをすることが裁判所に求められているのであり、一概に当事者は批判できないのだが。
(注2)法制度が違うので、同列に論じることはできないが、アメリカの事案で興味深いものがある。標準化技術に必須の特許を行使した者に対し、その者が標準化過程で当該技術に関する特許出願の存在を明らかにしていなかったことを捉え、特許権が行使できない、と判断し、他方、衡平法上のequityを要求している判決が存在する。
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