知財の世界でも、なかなか面白い動きがあったように思う。
法改正では、物品性を伴う画面デザインは意匠法で保護されることになった。
知財の侵害罪がそれぞれ引き上げられたのもインパクトがある。
もっとも、こちらは政治先行の決定で、果たして良いのか、という疑問はあろう(最新号のジュリストで中山教授が述べられたところであるが)。私自身は、刑を重くするならば、少なくとも著作権に関しては要件に絞りをかけるべきではないかと感じている。海賊版販売行為は、最高10年の懲役でもかまわないだろう。窃盗との対比ができるからである。しかしそれ以外の行為はどうか?幇助は?
知財の世界と刑法との対話、というのも今後重要になるのではないか。
裁判例でも興味深いものが続いた。
特許権の侵害に当たる行為としての修理・再生産をめぐる基準を示した〔インクカートリッジ事件知財高裁判決〕(1月31日)、知財高裁になって2つ目の知的財産権非侵害の場合の不法行為の成立を認めた〔通勤大学事件知財高裁判決〕(3月15日)、人のパブリシティについての〔ブブカスペシャル事件東京高裁判決〕(4月27日)、著作権延長の改正が適用開始期が争われた〔ローマの休日事件〕(東京地裁仮処分7月11日)、著作権間接侵害型のサービスについて非侵害とされた〔まねきTV事件〕(東京地裁仮処分8月4日、知財高裁12月22日)、著作物の道の利用についての譲渡が争われた〔キャロルDVD事件知財高裁判決〕(9月13日)、なかなかユニークな非登録事由を持ち出した〔赤毛のアン事件〕(9月20日)、営業誹謗が争われた〔キシリトールガム事件〕(10月16日)……挙げればキリが無いが、ここらへんは特に目を引かれるものであった。
来年の議論のテーマの一つは、リサーチツール特許などの川上特許について、差止請求権の濫用論であろうと思う。著作権については未知の利用が話題となろう。不正競争がらみではパブリシティの扱いだろうか。
知財の周辺の動きもあった。
経済産業省が進める『知的資産経営』もだいぶ広められてきたようだ。知的財産を生み出せる人材の力、というのを今一度経営側は見直して欲しい。簡単にクビに出来る人材だけを集めていて、果たして知識経済の中で競っていけるのか?じっくり人材を育てる、という古めかしいことが実は強みではなかったのか。
来年も面白いことを出来るだけ追って行く所存である。ごらん頂いてる方の情報収集のインデックスの一つや、自分のお考えを練るきっかけにしてもらえれば、と願っている。

